私がアメリカに住んでいた2012年~2016年頃、北米市場(主にアメリカ、カナダ、メキシコ)に進出する日本企業の進出サポートや販路拡大のサポートも仕事としてやっておりました。その経験を踏まえて思うことは、日本企業が海外進出するには乗り越えなければならない障壁が3つあるという事です。
・日本のものさしで物事を測る
・いいものを作れば売れると思っている
・言語障壁
上記は、私が自分の経験で感じた個人の意見ですので、全ての日本企業に当てはまるという訳ではないので、その辺はあらかじめご了承下さい。ただし、大企業でも中小企業でも、だいたいは上記のいずれかを感じました。それでは1つず説明していきます。
日本のものさしで物事を測る
When (you are )in Rome, do as the Romans do.という諺があります。ローマに行ったらローマの人がやっている様にしなさい、つまり日本語でいうと「郷に入っては郷に従え」です。
よく日本の常識は世界の非常識と言われることがありますが、日本でビジネスをしたいと思っている外資企業は、きちんと日本の商習慣を理解した上でビジネスを展開しなければなりません。反対に海外でビジネスを展開したい日本企業はその国のルールや商習慣を理解したうえで事業を進めていく必要があります。
私が海外で仕事をしていた時、日本の企業が海外の展示会などに出展するお仕事をお手伝いしたことが結構ありました。その中で、日本では会場のデザインをギリギリで変更したり、突貫工事で乗り切ったりすることが当たり前のように行われています。
しかし、海外ではその方法は全く通用せず、仮に突貫工事を行った場合、労働組合から多額の追加料金が取られます。しかし、日本で当たり前にできる事に対して多額の追加料金を取られることに納得いかない日本企業の方に、海外での常識をお伝えするのですが、それでも納得いかないといって怒りが収まらない方もおりました。
国が違えば文化も習慣も違います。海外でビジネスをするのであれば、その国のやり方を尊重する事が、事業を成功させるための第一歩になるのではないでしょうか。
いいものを作れば売れると思っている
これは大企業だとか中小企業だとか関係なく、相当数の企業に当てはまることでした。例えば日本のアパレル関連会社で、自社の革製品を海外展開したいと考えており、アメリカでの展示会に参加されていました。
そこに展示された商品は、本当に高品質で素晴らしいものが多かったです。ブースにも世界中からのバイヤーさんが多く訪れていました。そこでフランス人バイヤーさんから言われた言葉が凄く印象的でした。
「日本製品は世界で最も高品質の商品であることは間違いないんだけど、ブランド力がないから商品価格も中途半端になる。ブランド力があれば、実際の商品価値の何倍もの値段でも売れるけど、ブランド力がない日本製品だとなかなか売れないんだよね。」
イタリアやフランスなどヨーロッパからは世界中で人気のブランドが多くあります。それらの国のバイヤーからすると、日本製品は確かに質はいいけど売れない商品だから購入するのに躊躇するという事でした。
言語障壁
私は今まで様々な国で仕事をしてきた経験があります。世界でビジネスをするとき、共通言語はもちろん英語になります。私の場合、海外で仕事をするとき、その国の方々だけではなく、世界各国から集まった様々な国の方と仕事をすることが多かったです。
世界的にみて英語を母国語する人より、英語を母国語としない人の方が圧倒的に多いのですが、ビジネスの世界でもそれは同じで、ほとんどのビジネスパーソンは英語を母国語としていませんでした。
しかし、ビジネスのやり取りはもちろんすべて英語で行われるのですが、ビジネスパーソンは基本的に通訳をつけずに、本人が英語で商談します。ヨーロッパの方は基本的に言語が英語に近いので、ほとんどの人が英語を話すことがでいますが、アジア諸国のビジネスパーソンも御多分に洩れず英語で商談します。
しかし日本企業の場合、高確率で通訳を介した商談になります。通訳を介すと実際に伝えたいニュアンスが伝わりづらかったり、商談に倍の時間がかかったり、ちょっとした雑談ができなかったりと、ビジネスをしていく上で非常に不利になることが多いです。
私が思うに、日本人のビジネスパーソンの英語力が低いのではなく、間違える事を悪としてきた日本の教育を受けて育った日本人は、自身の英語力に自信がなく、間違ったら嫌だから話さないというケースが多いと思います。
英語を母国語としないビジネスパーソンと英語で会話をしても、文法ミスだったり癖の強い発音をする方も多いですが、みなさん堂々と話をしています。英語の商談は英語の試験ではないので、間違い探しをするのではなく、自分の伝えたいことをいかに相手に伝えるかが大切ですね。
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