21世紀を生きていく子供たちにとって、世界はどんどん狭くなっていきます。本当の意味でのグローバル社会の到来です。
日本でも2020年から小学生からの英語が必須になり、さらに英語のレッスンを導入する幼稚園や保育園も増えています。雑誌やネットでも幼児英語の記事や特集が多くみられ、英会話スクールやオンライン英会話など、様々な英語に関するサービスが増えてきています。
小さい子供のいる家庭では習い事をさせるご家庭も多くなっています。その中でも「英語」に対する関心は、年々高くなってきています。
しかし、これだけ英語に関するサービスが乱立している中、「何から始めればいいのだろう?」「幼少期から英語を習わせた方がいいのだろうか?」などと考えてしまう方も多いのではないでしょうか?
幼少期は語学を習得するのに最適な時期です。ただし間違った方法で語学を学んでも効果がありません。まずはバイリンガル(幼児英語)教育について正しく理解することから始めましょう。
1.幼児期に英語の読み書きを勉強するべきではない!
まず、赤ん坊が日本語を覚える順番を考えてみてください。赤ん坊は親の言葉を聞くことから始まり、早い子供で1歳から言葉を発するようになります。人によってスタート時期は異なりますが、早い子供だと3歳頃から文字を読む勉強をして、最後に書く事を覚えます。
これこそ人間が言葉を覚えていく自然な流れです。つまり下記の順番こそが言語を覚えていく正しいのです。
「聴く」→「話す」→「読む」→「書く」
幼児期の子供は「聴いて話す」ことに長けています。幼児期には、とにかく聞いて話すことに注力することが大切です。
幼児の頃から「聴く」と「話す」のトレーニングをすることで、大人になってからではなかなか聴き取れるようにならない英語ネイティブのスピードの英語を聴き取ることが出来るようになったり、ネイティブレベルの綺麗な発音を身につけることも可能です。
ちなみに、「読む」「書く」事に関しては、英語が自然に話せるようになってきてから始めるべきです。もともと読み書きは年齢が高くなってから学んだ方が効率的だと言われています。
幼少期から英語の読み書きを無理やり学ばせると、効果が出ないだけでなく、子供が英語嫌いになってしまいます。
子供は好きなことに関しては、大人の想像以上の速さで物事を吸収しますが、反対に嫌いなことに関しては全く頭に入ってこないのです。
2.幼少期は教材を使った勉強は避けるべき
お子さんに英語を学ばせている親御さんからよく相談を受けるのですが、その相談の中でもよく受ける質問があります。
「子供の英語力を高めるためには、どんな教材を学ばせればいいのでしょうか?」
結果から申し上げますと、幼児には教材を使う必要はありません。
もちろん英語の教材を全て否定するわけではありませんが、教材が子供の英語力を伸ばすわけではないのです。つまり、良い教材を選ぶこと自体が意味のない行為なのです。
子供が英語を話せるようにするためには対話を通じた生の英語に触れることが何よりも大切なのです。
言葉とは「他者と意思の疎通を図るためのツール」です。しかし、日本では「英語」というと、どうしても「学校の勉強」や「テスト」と考えてしまう方が多くみられます。
もう一度「幼児英語」について考えてください。子供に英語を学ばせたいのは以下のうちどちらですか?
a. 英語の成績を伸ばして良い高校や大学に入ってほしい
b. 生きた英語を話せるようになり、グローバルに活躍できる大人になってほしい
ほとんどの方は2番を選択したと思います。2番のような人材を育成するには、これまでの日本の英語教育の方法では不可能です。なぜ不可能なのか?それは我々日本人の大人の英語力をみれば説明するまでもありませんね。
せっかく幼少期の頃から子供に英語を学ばせたい(バイリンガルに育てたい)という意識をお持ちの親御さんなのですから、正しい方法で幼児英語教育を行えば必ず成果はでます。
前述したように、幼児期は語学学習にとって最適な時期なので、英語を通じて他者とコミュニケーションを取りながら、総合的な語学力を伸ばす教育をしてあげることが非常に重要です。
3.ネイティブの先生とコミュニケーションをとる
幼児の英語力は、英語の環境下にいる時間に比例して伸びます。ネイティブの先生と時間を共にすることによって、日本にいながら英語圏での生活環境がつくれるのです。
幼児が英語を習得することは、実は単純な事なのです。日本人の幼児が日本語を習得するのと全く同じ方法を取ればいいのです。それには英語ネイティブの先生と長い時間を過ごすことが、英語習得の唯一無二であり確実な方法です。
日本人の子供が日本語を覚えるのは、日本語話者である両親、とりわけママと接する事によって覚えていきます。英語を習得するには、英語を母国語とする先生と長時間接することによって、日本の子供が日本語を話すこと同様に英語を自然に習得していきます。
では、英語ネイティブの先生だったら誰でもいいのか?というとそうではありません。子供の長所と短所をしっかり見分け、子供が英語を話せるように導くこと、またそのような環境を自然に作り出せる事のできる先生である必要があります。
4.世界の60%はバイリンガルであることを知る
日本から離れて世界を見てみると、実に世界中の60%の人が2か国語以上を話します。つまり、バイリンガルは何も珍しいことではないのです。反対に1つの言語しか話せないモノリンガルの方が珍しいのです。
モノリンガル(母国語のみ話す人):40%
バイリンガル(2カ国語を話す人):43%
トライリンガル(3カ国語を話す人):13%
マルチリンガル(2カ国語国語以上を話す人で通常4カ国語を話す人):3%
ポリーグロット(多カ国語を高レベルで操る人で通常5カ国語以上を話す人):1%
特に英語は世界で15億~20億人が使用している世界で最も普及している言語です。ビジネスシーンにおいては、英語を話せないとグローバルを舞台に仕事をするスタート地点に立てません。
英語という言語を話せるようになると、言語習得以外にも様々な能力が培われます。物事を論理的に話せる様になったり、自己表現力が向上したり、多様性を受け入れられるようになったりします。これらの能力は、グローバル化する現代において今後ますます必要となってくることでしょう。
生きた英語を話せるバイリンガルを育てる意味
日本での幼児英語教育は、今変動期を迎えています。今までは「英語に親しむ」ことに焦点が当てられていましたが、これからは「生きた英語を話せるバイリンガルを育てる」英語教育へ変わってきているのです。
しかし最近では、英語学習自体に意味がないと言われる方もおります。IT技術の発達により、今後翻訳ツールがあればわざわざ多言語を学習する意味がなくなるというのがその理由です。
確かに翻訳ツールの技術が向上すれば、ほとんどの場合「言語としての」意思の疎通が取れるかもしれません。しかし、バイリンガルを育てることは単に「英語を話せる」子供を育てるのではなく、言語の後ろにある文化や習慣、人種や宗教等、様々な考え方や価値観を学ぶことができるのです。
これからの時代を生きぬいていく子供たちには、英語という言語を通して、創造力、批判的思考、問題解決能力など21世紀を生きていくために必要なソフトスキル、ならびに人間力を養っていく事が非常に重要なのです。
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