レッジョ・エミリアとモンテッソーリ教育の違いは何でしょうか?こういった質問をよく受けます。両方とも同じイタリア発祥の教育方法ですが、具体的に双方の特徴と違いをみていきましょう。
モンテッソーリ教育
モンテッソーリ教育は生徒中心の教育方法で、子どもたちが主体となり中心になる広い意味での進歩主義的な教育です。
【柔軟性】
モンテッソーリ教育では、子どもたちは机に座って先生の話を聞いてノートを取ったりするいわゆる受け身の方法はとりません。クラス内を自由に移動したり、自分のタスクや活動を選んで、クラスメートとやり取りする事ができます。
【個別カリキュラム】
門てそーり教育には、決まりきったカリキュラムがありません。その代わりに、子どもたちは発達状況にあわせて適切な課題に取り組みます。先生からのガイダンスより、自分自身関心のある作業などを選択することができます。
【実践学習】
子どもたちはいわゆるモンテッソーリ教具と呼ばれるピンクタワー、円柱、音感ベル、数の棒などクラスにある教具を使います。幼稚園や小学校では特に、この実践的学習に重きを置いています。その結果、子どもの集中力や学習成果の向上につながると考えられています。
【邪魔されない作業時間】
子どもたちは多くの邪魔をされない作業時間が与えられます。幼少期では、1日3時間ほど邪魔されない時間を与えられます。これによって子どもたちは自分で、またはグループで、気を散らすことなく選択したタスクに取り組むことができます。
【全ての子どもに焦点を当てる】
モンテッソーリでは全ての子どもに教育する事を目指しています。子どもを自立の仕方、バランスのとり方、責任感を持つことを学びます。さらに子どもたちは礼儀作法やコミュニティーの大切さを学びます。また、料理や掃除、園芸などの実践的スキルも学びます。
【テクノロジーを限定する】
モンテッソールでは、現代のテクノロジーをできるだけ使用しないようにします。コンピューターや電子型ホワイトボード、タブレットなどは、保育園や小学校で使用されることはほとんどありません。中学校になって研究プロジェクトなど、特別な場合などで使用されることはあります。
レッジョ・エミリア教育
レッジョ・エミリア教育はとても独創的なアプローチをとっています。レッジョ・エミリアもモンテッソーリ同様にカリキュラムではなく哲学的で、実践型教育が多く用いられています。
【自主学習】
レッジョ。エミリア教育では、基本的に生徒が主体となった自習式のカリキュラムを用いています。先生と生徒が一緒になってカリキュラムを考えます。先生はクラスの子どもたちの話を聞いてよく観察し、生徒が何に興味を持っているのかを見定めます。彼らはこの知識を用いて、学習環境を整え、指導計画をし、子どもの発達状況に応じたタスクや活動を選択できるようにサポートします。
【緊急学習】
先生が事前に計画することはめったにありません。また、クラス全体の授業を通じて知識を伝える事もしません。その代わりに彼らは活動や遊びを通じて子どもたちを観察し、質問し、子どもたちの考に耳を傾けます。そうすることによって、子どもたちが何に興味を持っているのかを把握し、それに応じてカリキュラムを計画していきます。
【プロジェクトベースの学習】
プロジェクトは、レッジョ・エミリア教育の中で最も大切にされている事の1つです。先生から子どもに提案することもありますが、主に子どもたちから提案されます。プロジェクトは、子どもたちに新しいことを探求する可能性を広げたり、子どもたちが自分たちのアイディアをしっかり突き詰めていくことができるようになります。
【関係の重要性】
家族、仲間、先生、学校の環境、コミュニティーとの関係は非常に重要です。レッジョ式の教室はお互いの交流を促進するために設置されています。子どもたちは一日を通して先生や他の子どもたちと交流を図ります。ときには親や地域のコミュニティーとの交流する時間も設けられます。
【学習のモード】
子どもたちは多くの言語やモードを使って学びます。これにはお絵描きや描写、音楽、ダンス、歌、絵本の読み聞かせなどが含まれます。また、ペンキ、年度、天然素材やリサイクル素材など、様々な素材を使って表現しています。レッジョの子どもたちは、様々な方法で自分を表現することを推奨されています。
【保護者の介入】
保護者は教育において非常に重要な部分にあたります。保護者は子どもたちのパートナーであり、サポーターとみなされています。先生は保護者を子供の最初の先生として尊重します。先生は色々な学校の用事やイベントに保護者を介入させます。多くの保護者が自宅でもレッジョ式教育を使用することを推奨しています。
モンテッソール VS レッジョ・エミリア
主な類似点
- 柔軟性
モンテッソーリもレッジョ・エミリアも子どもたちに多くの自由を与えます。先生からのガイダンスによって子どもたちは自分のやることや活動を選ぶことが出来ます。また、クラス内を自由に移動したり、グループで作業したり、自分のペースで作業したりすることができます。 - 個別カリキュラム
モンテッソーリもレッジョ・エミリアも標準化されたカリキュラムを備えていません。むしろ先生のサポートを受けて子どもたちは、自分が興味のあることに意欲をもって活動することができます。 - 子供の交流
両方とも子供間での交流を持つことが推奨されています。クラス内では、子どもたち同士の共同作業やグループワークを促進するために設置されています。どちらも子ども同士が学びあう環境があります。 - 先生の役割
モンテッソーリもレッジョ・エミリアの先生も、普通の学校で行われるような全体的な授業を行いません。また、直接指導や暗記を通じて、子どもたちに知識を教え込むようなことも行いません。むしろ、先生の主な役割は子どもにとって有意義な遊びや活動を結び付けてあげる事です。
主な相違点
- 教育学年
レッジョ・エミリア境域では、主に未就学児から小学校低学年を対象としています。一方モンテッソーリ教育は未就学児だけではなく、小中学校でも使用できます。 - アート
レッジョ・エミリア教育では、モンテッソーリ教育よりもアートに重きを置いています。レッジョでは様々なアート的メディアや表現形式の使用を推奨しています。一方門てそーり教育ではアートに重きを置く傾向がありません。アートのために特別な時間をとってプロジェクトを割り当てるなどの時間はほとんどないです。 - 学問
どちらのスタイルも未就学や小学校の学問に焦点を当てていますが、モンテッソーリではより学問に重きを置く傾向がみられます。特にレッジョと比べたとき、遊びや活動よりも学問に重きを置く傾向がみられます。 - プロジェクト
長期間にわたる時間制限のないプロジェクトは、レッジョ・エミリア教育で最も重要とされている事の1つです。モンテッソーリの子どもたちはプロジェクトを行いますが、レッジョと比べるとそんなに頻繁には行われません。さらに、モンテッソーリのプロジェクトは自由度が低い傾向にあります。 - テクノロジー
モンテッソーリ教育では、クラス内では現代のテクノロジーを使うことはほとんどありません。一方レッジョ・エミリア教育では、かなりの量を使用します。特にレッジョの先生は、カメラやビデオなど多くのテクノロジーを使用し、クラス内で行われていることを観察して、ドキュメンテーションとして文書化(可視化)します。
まとめ
このように、モンテッソーリとレッジョ・エミリアは似ているところもありますが、違うところもたくさんあることがわかりました。どちらの教育が優れているという観点で話しをすることはナンセンスですが、時代背景によって求められているものが変わっています。
昔の時代は子どもの数が多かったため、学校外でも子供同士が社会的スキルを学ぶ環境がありましたが、少子高齢化の現代社会では、学校外で子どもが社会的スキルを学べる場所が昔と比べると激減しています。
そういった時代背景を考えると、学校で社会的スキルを学ぶ必要も出てきているのではないかと考えています。個人のスキルを伸ばすことはもちろん大切ですが、協調性を養い、チームとして何かを成し遂げる事、これがこれからの時代にとって必要なスキルの1つであると確信しています。
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