公務員という仕事は日本では人気の職種です。経済情勢に左右されずに安定した仕事だからというのが一番の理由です。
たしかに現在までは公務員は安定した仕事ですが、これからの時代を生きていく次世代の子どもたちにとっても、今と同じような状況が続くのでしょうか?
IT技術の向上、AIやロボティックスの台頭などによって、今まで人の手によって行われてきた仕事が人の手を介さずに進められることが非常に多くなってきています。この流れは今後ますます加速されていきます。
そんな時代になっても、公務員は今のような安泰な仕事なのでしょうか?
役所の仕事の大半はAIに取って代わられる
経済産業省のホームページに掲載されていた面白い記事がありました。
「ブロックチェーン技術を応用すれば、個人の権利の証明にも使えます。例えば、土地を取引するときに、電子署名と土地の権利情報が書かれたデータをブロックチェーン上で管理すれば、役所の登記簿は不要になります。
また、住民票も、台帳自体をブロックチェーン上で管理すれば、住民本人と転居前後の自治体の電子署名により、手続き完了の証明となります。」
今は住民票や印鑑証明書、戸籍謄本など、様々なものを取得するために役所に行かなければなりません。本籍が遠い場合は、実際に足を運ぶか郵送でお願いするなど、時間と労力が非常にかかります。
しかし、現在のIT技術を使えば、ほとんどの書類をオンラインで取得する事が可能ですし、そもそもブロックチェーン技術を応用すれば、全て電子化していくことができます。
30人が6日間かけて行う仕事をAIが数秒で完了
埼玉県さいたま市で毎年行われている「保育施設の割り振り」という作業があります。これは30人の公務員が50時間(6日間)かけて割り振りをしています。
さいたま市では毎年、認可保育園に入園希望する子どもの数が8000人程になり、どの子どもが300ある認可保育施設のどの園に割り振るかを、各家庭の様々な環境や条件を確認しながら行っています。
祖父母と同居しているのか、母親の勤務時間、世帯収入はどれくらいなどの条件を突き合わせたうえ、兄弟で同じ施設に預けたい、通勤経路にある施設に預けたいなどの希望も考慮して、入園先を割り振る作業を行っています。
この大変な仕事を、さいたま市と富士通研究所のAI技術を使った実験を行いました。公務員30人が50時間かけてやる膨大な作業をAIが行った結果、なんと数秒で全ての子どもの割り振りが終わったのです。しかも、結果は人間替え作業で行った割り振りとほとんど同じだったそうです。
この結果からもわかるように、今行われている公務員の仕事のほとんどは、人間よりもAIやロボットの方が向いています。現在のAI技術でもこの結果ですので、10年、20年後の技術は今では想像もできないレベルになっている事でしょう。
将来の公務員に必要とされる能力とは?
これは、何も公務員に限ったことにはならないと思いますが、ルーチン的な仕事や前例があることをベースに行われる仕事、つまり「作業」は人間ではなくロボットやAIが行うようになります。
今の子供たちが社会人になる頃に求められる能力は、AIやロボットが苦手とするクリエイティブの能力を中心としたものになるでしょう。つまり非認知的能力を持った人間が必要とされてきます。
さらには、ロボットやAIはあくまでも人間の仕事を人間に取って代わるので、それを管理する人間は必要になります。つまりプログラミング等、ロボットやAIに指示を出したりする言語を操れないと仕事を進めていくことはできません。
オックスフォード大学のオズボーン教授の論文にあったように、これから10~20年で消える仕事の中に公務員も入っているので、ご自身の子どもの将来を考えるのであれば、これは無視できない事実です。
今までのように、良い高校、いい大学を卒業して公務員になれれれば一生安泰という考えは全く通用しません。公務員になるためには、非認知的能力を持って、最先端のIT技術を持った人間になる必要があると思います。
そういった人間になるためには既存の教育を受けているだけでは難しいので、親として何をできるかを真剣に考える必要があります。
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