感情をコントロールする力を育む「ペアレント・コーチング」

子育て方法

子育てにおいて、「感情をコントロールする力」は親としてぜひ身につけておきたい大切なスキルです。日々の育児では、子どもが泣いたり、イヤイヤ期で反発したり、兄弟げんかをしたりと、予期せぬ出来事がたくさん起こります。そんなとき、「怒りをぶつけてしまった」「後で冷静になってから落ち込んだ」など、感情のコントロールがうまくいかずに自己嫌悪に陥ることも少なくありません。

しかし、子どもを取り巻く環境は、親だけが作っているわけではありません。保育園や幼稚園、学校、地域社会など、多面的な状況が存在します。親が抱える仕事の忙しさや家庭内のストレスなども、感情的になる原因になりやすいですよね。そこで注目されているのが、「ペアレント・コーチング」という考え方です。これはコーチングの手法を取り入れながら、親としての役割やコミュニケーション方法を見つめ直し、自身の感情を冷静に捉えていくプロセスを習得することをめざします。

本ブログでは、なぜ感情のコントロールが大切なのかを考えつつ、ペアレント・コーチングがどのようにその助けになるのかを解説していきます。また、具体的な方法や実践のヒントもご紹介し、皆さんの育児ライフがより豊かなものになるよう、一緒に学んでいきましょう。

1.なぜ感情コントロールが重要なのか

子どもは大人と比べて言語能力や社会経験が未熟であり、自分の思いや感情をうまく言葉にできません。だからこそ、素直に行動や表情、声のトーンで感情を表出します。親はそれを受け止め、理解し、必要があれば適切に導いてあげる役割があります。しかし、親自身がイライラや不安を感じたまま対処すると、子どもに怒りをぶつけたり、必要以上に叱ったりしてしまいがちです。

たとえば、忙しい朝の時間に子どもが服を着替えずに遊んでいると、つい声を荒らげてしまう方もいるでしょう。子どもにすれば「まだ遊んでいたかった」という単純な理由かもしれませんが、親にとっては「早く仕事に行かなくては」「遅刻したらどうしよう」という焦りが重なり、苛立ちに火がついてしまいます。このような事態を繰り返すと、親は子どもに対し罪悪感や無力感を抱く一方で、子どもは「怒られるから余計に言うことを聞きたくない」という悪循環に陥ることもあります。

感情のコントロールが上手くなると、子どもが何かトラブルを起こしたり、反発してきたりしたときでも、まずは落ち着いて状況を把握できるようになります。親が冷静であればあるほど、子どもも安心して心を開き、自分の本当の気持ちを話しやすくなるのです。また、親が感情を一定のラインで保ちながら子どもに接することで、子ども自身も「大人は怒りに振り回されない」というお手本を見ることができ、将来的な自己コントロール力の発達にもプラスに働きます。

2.ペアレント・コーチングの基本原則

ペアレント・コーチングとは、もともとビジネスの領域で活用されていた「コーチング」のスキルを、育児や子育ての場面に応用したアプローチです。コーチングでは、相手が自ら気づき、行動し、成長していくための問いかけやコミュニケーションを重視します。そのポイントを子育てに活かすことで、親もまた自身の考え方や感情の扱い方を客観的に見つめ直せるようになるのです。

ペアレント・コーチングには、以下のような基本原則があります。

  1. 子どもの主体性を尊重する
    子どもの小さな自己主張や選択をできるだけ肯定的に捉え、無理矢理に親の意見を押し付けないようにします。子どもの意志を尊重することで、子どもは「自分の思いを聞いてもらえる」という安心感を得やすくなります。
  2. 親が「聴く姿勢」を持つ
    一方的に話すのではなく、子どもに問いかけをしながら耳を傾ける姿勢が重要です。子どもが何を感じているのか、どんな言葉を待っているのかを意識することで、「親は自分のことを理解しようとしている」と子どもに伝わります。
  3. 否定ではなく承認から入る
    たとえ子どもの行動が問題だと思える場合でも、まずは「分かったよ」「そう感じたんだね」と受け止めることを優先します。否定されると、子どもはさらに反発したり心を閉ざしたりする場合がありますが、受け止めてもらえると落ち着いて改善の道を探りやすくなります。
  4. 親も成長し続ける姿勢を持つ
    子どもの成長を見守りつつ、親自身も「完璧な大人」ではなく、学びの途中であることを自覚しましょう。ペアレント・コーチングでは親自身が自分の感情や行動を振り返り、試行錯誤しながらスキルを磨いていくプロセスを大切にします。

これらの基本原則を押さえておくことで、いざ感情が揺さぶられる場面に出会ったときでも、少し立ち止まって「今の自分は、子どもに寄り添うコミュニケーションができているだろうか」と問いかけられるようになるのです。

3.感情をコントロールする具体的な方法

ペアレント・コーチングの考え方を実践するには、まず親自身が自分の感情に気づき、それをどう取り扱うかを学ぶ必要があります。ここでは、家庭で取り入れやすい具体的な方法をいくつかご紹介します。

(1) 「タイムアウト」を活用する

子どもの「タイムアウト」というと、いたずらや問題行動への対処法として使われることがありますが、ここでは「親のためのタイムアウト」を指します。感情が高ぶりそうになったとき、あるいはすでにイライラしているなと感じたときこそ、一時的に子どもとのやりとりを中断してみましょう。深呼吸を数回行い、心を落ち着かせるだけでも効果はあります。もし可能であれば、少し別の部屋に移動して、冷静になる時間を確保してください。親の心に余裕が戻ってから再び向き合うことで、子どもとのコミュニケーションがぐっと建設的になります。

(2) 言語化する

感情を言語化すると、不思議なくらい落ち着きを取り戻しやすくなります。「私はいま焦っている」「怒りが湧いてきている」と自分で言葉にしてみるだけでも、状況を客観的に見る力が働き始めます。実際に口に出さなくても、頭の中で整理するだけでOKです。子どもにも「ママ(パパ)は今、とても疲れててイライラしてる」と伝えることで、「怒られている理由がわからない」という子どもの不安を和らげられる場合もあります。

(3) ポジティブな意図を見つける

子どもが癇癪を起こしたり、わがままを言ったりするとき、まずはその行動の裏にあるポジティブな意図を探してみましょう。たとえば、スーパーでお菓子を買ってほしいと泣き叫ぶとき、表面的には「わがまま」に見えても、「もっと親にかまってほしい」とか「一緒にお買い物を楽しみたい」という気持ちがあるかもしれません。その思いを受け止めてあげると、親も冷静さを失わずに「なぜ買ってあげられないのか」を説明しやすくなり、子どもにとっても理解しやすい状況を作れます。

(4) コーチングの質問を活用する

ペアレント・コーチングでよく使われるのが、「オープンクエスチョン」と呼ばれる問いかけです。子どもに対して「どうしてそんなことしたの?」と責めるのではなく、「それをやりたかったのは何か理由があるの?」と問いかけることで、子ども自身が「自分の気持ち」を探し出しやすくなります。さらに、「どうすれば次は上手くいくと思う?」と解決策を子どもに考えさせることで、親が一方的に指示するのではなく、子どもが主体的に行動を見直すきっかけを作ることができるのです。

4.家庭での実践と継続

感情のコントロール力を身につけるには、一度にすべてを完璧にこなそうとするのではなく、少しずつ実践を重ねることが大切です。育児は毎日の積み重ねですから、短期的に劇的な変化を期待するよりも、長期的に「自分も子どもも、よりよい方向に変わっていく」という視点を大事にしましょう。

(1) 小さな成功体験を積み重ねる

たとえば、「朝の忙しい時間にイライラしがち」という方は、まずそこに焦点を絞ってみてください。イライラしそうになったとき、意識してタイムアウトを取り、落ち着いてから子どもと話すようにしてみましょう。うまくいった日があれば、自分をしっかり褒めてあげてください。失敗してしまった日でも、「今日はこうなったけれど、次回はもう少し早めに起こそうかな」といった具体的な改善策を立て、前向きに捉えていくことが大事です。

(2) 親同士や専門家との情報共有

夫婦間やパートナー同士で意見を交換し、それぞれがどんなことで感情を揺さぶられやすいかを共有することも有効です。相手がどんなストレスを抱えているかを理解していると、サポートし合いやすくなるでしょう。また、保育士や幼稚園の先生、子育て支援センターなど、専門家の意見を取り入れると、客観的な視点からアドバイスが得られ、自分一人では気づかなかった解決策を見出せることもあります。

(3) 子どもの成長段階を理解する

子どもは年齢や発達段階によって行動や興味が大きく変わります。イヤイヤ期や反抗期など、それぞれの時期特有の課題がありますが、それは成長過程の正常なプロセスでもあります。「自分の子どもは今、この時期だからこういう行動を取りやすいんだ」という視点を持つと、「またワガママ言ってる!」とカッとなる前に、「そろそろ自己主張が強くなる頃だから仕方ない部分もあるかな」と落ち着いて対処できるようになります。

まとめ

感情をコントロールする力は、一朝一夕で身につくものではありません。しかし、ペアレント・コーチングの手法を取り入れながら少しずつ実践していくことで、親としてだけでなく、人間としての成長を感じる瞬間が増えていくでしょう。何より、親が落ち着いて子どもと向き合えるようになると、子どもも安心して自分の意見を表現しやすくなり、親子関係がより豊かで信頼に満ちたものになっていきます。

最後に大切なのは、失敗しても自分を責めすぎないこと。「今日うまくいかなかったからダメだ」というのではなく、「明日はこうしてみよう」という前向きな姿勢を忘れずに。子育ては長い道のりですから、一歩一歩、着実に進んでいけば大丈夫です。感情をコントロールする力を育みながら、お子さんとのかけがえのない時間を、どうか大切に過ごしてください。

Fostering the Ability to Control Emotions Through “Parent Coaching”

In parenting, the ability to control your emotions is a crucial skill for any parent to develop. Children’s daily lives are filled with unexpected occurrences—crying, rebelliousness during the “terrible twos,” sibling fights, and so on. In such moments, we sometimes find ourselves giving in to anger or feeling depressed after cooling down and reflecting on our actions.

However, parents alone do not create a child’s environment. Nurseries, preschools, schools, and the wider community are also part of it. Stress from work or within the family may add to the reasons why parents find themselves getting emotional. This is where “Parent Coaching” comes in. By incorporating coaching techniques, parents can re-evaluate their roles and communication methods, and acquire the ability to calmly observe their own feelings.

In this blog, we will discuss why it’s important to control our emotions, how Parent Coaching can be helpful, and provide practical methods and suggestions to make your parenting life richer.

1. Why Is Emotional Control Important?

Children, compared to adults, are still developing in their language skills and social experiences, and thus are unable to express their feelings smoothly in words. That is why they often express themselves directly through behavior, facial expressions, and tone of voice. As parents, we have a role to receive and understand those emotional signals and to guide children when necessary. However, if we ourselves are anxious or irritated when dealing with our children, we may end up scolding them excessively or taking out our anger on them.

For example, in the busy morning hours when your child is not getting dressed and just playing around, you may find yourself raising your voice. While the child may simply be thinking, “I still want to play,” the parent is juggling thoughts like “I need to get to work soon” or “What if I’m late?”—leading to frustration and outbursts. Repeating this pattern can breed guilt and a sense of helplessness in the parent, while the child may react by refusing to listen more, creating a negative cycle.

When you get better at controlling your emotions, you can calmly assess situations even when your child misbehaves or acts out. When the parent remains calm, the child feels safe to open up and express their true feelings more easily. Furthermore, by maintaining a moderate emotional response when interacting with the child, you demonstrate to them that “adults don’t get carried away by anger,” which in turn positively influences their own self-control as they grow.

2. The Basic Principles of Parent Coaching

Parent Coaching is an approach that adapts the coaching skills originally used in business settings to parenting. Coaching places importance on asking questions and communicating in a way that allows the other person to realize, act, and grow on their own. Applying this to parenting helps parents observe and reflect on their own ways of thinking and handling emotions.

Parent Coaching is based on the following principles:

  1. Respect the Child’s Autonomy
    Try to view your child’s self-assertions or choices in a positive light, and avoid forcibly imposing your own opinion. Respecting the child’s will helps them feel secure, knowing that “my opinions are being heard.”
  2. Adopt a “Listening Posture”
    Rather than talking at them, ask questions and be attentive to their answers. This makes children feel that “my parent is trying to understand me.”
  3. Begin with Acceptance, Not Denial
    Even if a child’s behavior seems problematic, start by saying “I see” or “You felt that way, huh?” Accepting rather than denying reduces the risk of increased rebellion or withdrawal, and allows both parent and child to more easily find a way to improve.
  4. Maintain the Attitude That Parents Are Also Learning
    While watching your child grow, keep in mind that as a parent, you are also not a “perfect adult.” Parent Coaching values the process in which you develop your skills by reflecting on your emotions and actions, trying new approaches, and learning from your experiences.

By keeping these principles in mind, when you’re in a situation that stirs your emotions, you can pause and ask yourself, “Am I communicating with my child in a supportive way right now?”

3. Specific Methods for Controlling Emotions

To practice Parent Coaching, you must first be aware of your own emotions and learn how to handle them. Here are a few practical methods that you can easily adopt at home.

(1) Use a “Time-Out” for Parents

We often hear of “time-outs” for children’s misbehavior, but here it refers to a “time-out for parents.” When you feel your emotions rising or sense irritation creeping in, try pausing your interaction with your child. Take several deep breaths to calm yourself, and if possible, step into another room for a moment. Approaching the child again once you’ve regained composure makes communication far more constructive.

(2) Verbalize Your Emotions

Surprisingly, simply putting your emotions into words can help you regain composure. Telling yourself, “I feel anxious right now” or “I’m getting angry” starts a process of seeing the situation objectively. You can do it in your head, but sometimes telling your child, “Mom (or Dad) is feeling tired and irritable right now” can help them understand why you’re upset, easing their anxiety.

(3) Look for Positive Intent

When your child throws a tantrum or seems to be acting selfishly, start by considering if there’s a positive intention behind their behavior. For instance, a child screaming for candy at the store may appear “spoiled” on the surface, but it could also mean they simply want more attention from you or want to have fun shopping together. Recognizing their feelings helps you stay calm as you explain why you can’t buy the candy, making it easier for the child to accept.

(4) Use Coaching Questions

A key technique in Parent Coaching is to use “open-ended questions.” Instead of blaming the child by asking, “Why did you do that?” ask them, “Is there a reason you wanted to do that?” This prompts the child to think about their own feelings. You can further encourage them by asking, “How do you think you can do better next time?” rather than just giving commands. This gives the child a sense of initiative in reevaluating their actions.

4. Practicing and Sustaining These Methods at Home

Gaining the ability to control emotions takes time and consistent effort. Since parenting is an ongoing journey, focus on gradually building success over the long term rather than expecting dramatic changes immediately.

(1) Accumulate Small Successes

If you find yourself easily irritated during busy morning hours, start by focusing on that. The next time you sense frustration, deliberately use a time-out and only talk to your child again once you’re calm. When you manage to do this well, praise yourself. Even if you fail, treat it as a learning experience: “Today didn’t go well, so maybe tomorrow I’ll wake them earlier.” Maintaining a positive outlook is key.

(2) Share Information with Your Partner and Professionals

Communicate openly with your spouse or partner about what triggers your emotions. Understanding each other’s stresses makes it easier to offer support. Also, consider seeking advice from teachers, childcare professionals, or staff at parenting support centers. Their objective viewpoints may present solutions you hadn’t considered.

(3) Understand Your Child’s Developmental Stage

Children’s behaviors and interests change significantly depending on their age and stage of development. The so-called “terrible twos” and the later rebellious stages come with particular challenges, but these phases are part of normal growth. Realizing “my child is at this stage, so it’s natural for them to act like this” can help you keep your cool before getting upset at their “stubbornness.”

Conclusion

The ability to control emotions is not something you can achieve overnight. But by gradually incorporating Parent Coaching techniques, you will feel personal growth not just as a parent but as an individual. Most importantly, when parents can maintain calmness, children feel safer in expressing themselves, leading to a richer and more trusting parent-child relationship.

Finally, remember not to be too hard on yourself if you fail. Instead of thinking, “I messed up today, so I’m no good,” try to stay positive by saying, “I’ll do better tomorrow.” Parenting is a long journey, and it’s okay to move forward step by step. As you cultivate your ability to control your emotions, cherish each moment spent with your children.

コメント

タイトルとURLをコピーしました