まずは実際に聞いた恐ろしいお話しから始めます。ある親子が公園で遊んでいました。子どもは3歳の女の子です。前日に降った雨のせいで公園にはたくさんの水たまりがありました。その3歳の女の子は水たまりで遊んでいたそうです。
そんな時、公園の反対側から3歳の子どもより少し大きな男の子と女の子が水たまりを踏みながら3歳の女の子の方に向かってきました。そして3歳の女の子に対して「どけ!」と言って彼女が遊んでいた水たまりから追い出そうとしました。
このような経験をすると小さい子どもにとって非常にトラウマな出来事になる可能性があります。私たちは親としてこのような出来事から自分の子どもを守りたいと思っているでしょう。
しかし、私たちは24時間子どもと一緒に過ごすわけではないので、全てを守ることはできません。こうした状況になったとき、子どもが自ら考えて攻撃的になることなく問題を解決できるように親として子どもをサポートして上げる事が大切です。
攻撃的な人間に対峙するとき、私たちは自分の尊厳と相手に対する思いやりを持って、常に落ち着いた状態でいる事を学ぶ必要があります。このように怒りや悲しみなどのマイナスな感情ではなく愛情などプラスの感情をもつことによって私たちの状況を変える事ができるのです。では実際にどのように対処していけばいいのか見ていきましょう。
1.適切な対応を自分の中でモデル化する
「どうしたの?怒っているように聞こえるけど、他の子どもたちが水あまりで遊んでほしくないってことかしら?」など、あくまでも冷静になって攻撃的な子どもと対峙する必要があります。
日常生活の中で、激怒した人と関わりを持つことはあまりありませんよね。しかしそういった態度をする人のほとんどは、自分の立場を認めてもらいたいだけなのです。あなたが、彼らの訴えや認めてもらいたい事を理解している事を本人に知らせれば、彼らは落ち着きを取り戻す場合がほとんどです。
上記の子どもの場合でも、何か嫌な気分になる理由があると思われる子どもと話をしているので、その子どもの視点を認めてあげることだけで問題を解決できるかもしれません。
「この水たまりをみんなでシェアするのは難しいよね。でも心配しなくていいんだよ。ここには子どもたちみんなが遊べるだけの水たまりがあるから。」あなたが親切で共感すればするほど、攻撃的な子どもの攻撃性は弱くなります。もしかすると笑顔を見せて一緒に遊ぼうと誘ってくるかもしれません。
2.今起こっている事が安全であることを自分の子どもに伝える
次に、自分の子どもに目を向けて語り掛けてください。「あなたが水たまりで遊んでいる事に対して彼らは怒っているんだけど、心配しなくて大丈夫だよ。私がしっかりと話をしてみんなが安全で安心して遊べるようにするから。水たまりはたくさんあるから、みんなで遊べるからね。」
このようにして自分の子どもに安心感を与えるようにしてください。このやり取りを相手の攻撃的な子どもが聞いていたとしても問題ありません。
3.もし相手の子が不適切な言動をした場合
「この水たまりは僕だけが遊べるんだ!」のような事を言ったり、自分の子どもを押しのけたりしようとしたり、不適切な言動や行動を相手の子どもがとった場合、親は自分の身体を使って、子どもたちの間に入ることで自分の子どもを守る必要があります。
今回は少し強めの口調で相手の子どもに伝える事を必要とします。例えば「この水たまりをみんなで使うのが難しいかもしれないけど、これはみんなの水たまりだよ!だから私たちはこの水たまりの場所から離れないでここで遊ぶからね。水たまりはまだたくさんあるから、他の水たまりで遊ぶこともできるんだよ。」としっかりと自分の意思を伝える事です。
4.自分の子どもに思っている事を言わせる環境をつくる
相手の子どもが自分の子どもを押したり、使っているおもちゃや道具などを取ったりした場合、親は落ち着いた感じで振る舞って、自分の子どもに思っている事を言って良い事を伝えましょう。
「大丈夫?『体を押さないでよ』とか『今私がこのおもちゃであそんでるんだから、終わったら貸してあげるから今は返して』って自分の思っている事を伝えていいんだからね。」などと優しく伝えてあげましょう。
5.必要であれば相手の親に話をする
攻撃的な子どもの親に対して敵意があるわけではないので、言い争いになる事は望んでいませんし、彼らが悪いことをしているというニュアンスの事を伝えたいわけでもありません。
そうした事を伝えるのではなく、「あなたのお子さんはこの水たまりが大好きなようで、自分たちが遊べる水たまりが必要なようですよ。今私たちがこの水たまりで遊んでいるので、私たちが遊び終わったらお使いになって頂いても結構ですよ。」と伝えたとすれば、ほとんどの場合、その親は子どもを別の水たまりに移動させます。
ここで大切なことは、相手の親に対して「良い子育て」方法を教える事ではなく、実際にあなたが親としてするべきことを「見せる」事です。こうした親の子に対する愛情は常に最高の先生ですからね。
6.自分の子どもの感情に寄り添う
子どもにとって、自分がだれかの攻撃の対象であると感じる事は非常に恐怖を覚えます。そこで、相手の家族がいなくなったら「大変だったね。多分さっきの女の子は今日なにか嫌なことがあったんだとおもうけど、あなたはどう思う?」
もしあなたの子どもが少し動揺しているようでしたら、少しロールプレイをしてみるのも良いかもしれません。「ねえ、私がこの水たまりで遊んでいたんだよ。私が遊び終わったらここで遊んでいいよ。」と、自分の子どもが経験をしたかのような形で話してみて励ましてあげてください。
そのあとは、ふざけながら水たまりを他の子どもとシェアできるかどうか聞いてみたり、水たまりをシェアするように誘ったりして、さっき起きた事に対して笑いながら話し合い、子どもが感じている不安を払拭して上げましょう。
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