子育てには母親と同様、父親の関わりが子どもの健康な発達に必要不可欠です。父親は子どもの感情や知識的成長に多大な影響を与えるという事がわかっています。幼児心理学のパイオニアであるエリック・エリクソン氏は、母親の愛情と父親の愛情には質的違いがあると言っています。
子育てに関して、父親は母親には真似のできない男親として母親とは違った形で貢献をすることができます。本日は父親が子育てに関わることで、子どもの人生にどのような影響を与えることができるのかについて共有していきたいと思います。
母親と父親の子育て方法は違う
父親は子どもに対して独特な関わり方やコミュニケーション方法を持っています。実は乳児は生まれてから8週間までには母親と父親の子どもに対する関わり方が違うという事を認識することができるようになります。この違いから子どもは男女の対照的な関係について広く深く学ぶことが出来ます。
子どもは恐らく認識していないかもしれませんが、子どもたちはこれらの経験を通じて男女が違うとうことや、人生の捉え方も違うこと、他の人間に対する対応の仕方が違う事などを学んでいます。これらを理解することは、子どもの成長にとって非常に重要なことです。
父親の遊び方
母親と比べて父親は子どもをくすぐったり、闘いごっごをしたり、空中に子どもを投げたりします。また、時には父親は遊び心のある怖い鬼になって子どもたちを追いかけまわしたりします。父親と一緒に大騒ぎしている子どもたちは、時に父親を叩いたり殴ったり引っかいたりすることもあります。そういった経験を通じて、暴力を振るうという行為が良くないことである事を学んでいきます。さらに、子どもたちは落ち着かなければならない時や、「もう終わろうね」といった経験を通じて、自分自身をコントロールする事も学びます。男の子だけでなく女の子も、こうした父親との関わり合いから攻撃的な面と臆病な面など精神的健康のバランスを学びます。
父親は子どもに自信を与える
公園に行ったときに、父親と母親の子どもに対する関わり方や遊び方にはたくさんの違いがあることを知っていますか?子どもがブランコに乗っている時、父親はより強く押します。子どもが登っているとき、いつもより高く登るように勇気づけるのは父親です。自転車をいつも以上に早くこぐように言うのは父親です。ボールをいつもより激しく、遠くに投げるようにアドバイスするのは父親です。
それとは反対に、子どもが遊ぶときにまわりに気を付ける様に注意するのは母親です。母親の役割は子どもを守ること、父親の仕事は子どもたちの限界を押し上げるためにサポートする事です。このどちらか一方だけを学んだ場合、子どもの成長という観点からするとアンバランスになってしまいます。
父親からはリスクをとって物事に挑戦していくことを学び、母親からはリスクを回避して進んでいくことを学びます。母親と父親の両方から学ぶことによって、子どもたちは自分の経験を増やして自信を高める事ができるように育っていきます。
父親のコミュニケーション方法
子どもと話をするとき、母親と父親ではコミュニケーションの方法が違います。母親は子どもと話をするとき、話す言葉を簡単な言葉や文章に変えることによって、子どものレベルで話す傾向があります。つまり、母親は子どもに「話の意図が伝わる」ことを第一としています。反対に父親が子どもと話すとき、子どものレベルに合わせて話さない割合が圧倒的に高いです。父親とのコミュニケーションを通じて、子どもは語彙力や言語能力を上げる事ができるようになっていきます。
父親のしつけ方法
父親はルールに基づいた義務や公平性、正義についてのしつけを重要視します。母親は人間関係に基づいた情、サポートや助け合いなどのしつけを重要視します。父親は規律について体系的にそして厳格に守り行動することによって子どもに善悪の区別を教えます。母親は品格と同調の傾向があり、希望に関する感覚を教えます。父親だけ、または母親だけのしつけをすることは子どもにとって良い結果はもたらしません。父親と母親の両方がしつけをすることによって、子どもは精神的に健康でバランスの取れた人間に育っていきます。
また、父親は態度や行動が全ての結果に直結するんだということを子どもが理解できるようにサポートをします。例えば、「自分が他の子どもと遊びたい時、そのお友達に対して仲良く親切で接する事をしないと、そのお友達はお前と一緒に遊びたくないと言う可能性が高くなるんだよ。」などと伝えます。
さらに、学校でしっかりと勉強しておかないと、入学できる大学の選択肢が減ること、自分の就きたい仕事に就けくなる可能性が高くなることなど、父親は子どもたちが世界の現実と厳しさに対してしっかり準備でいるようにする助言をします。
父親も偉大なり!
男性と女性は生物学的に異なります。食事の仕方も違います。服装も違います。人生の価値観も違います。子どもは父親と時間を過ごすことによって男の世界に好奇心をもちやすくなります。
父親と過ごす時間が多い女の子は、父親を通して男性が女性に対してどのようにあるべきかを学ぶので、父親が母親に対して常にやさしく穏やかに接していれば、女の子の中で「男とは女性に優しく接するものなんだ」と考えるようになります。反対に、父親が母親に対して暴言を吐いたり手を出したりしていたら、女の子にとって男性恐怖症になる可能性もあるでしょう。
父親という男性と時間を過ごすことによって、大人の男性の無精ひげや太い腕でハグされることが日常になるため、そいうった大人の男性について自然に学ぶことができます。こういった知識や経験から女の子は、危険な男性を見極めたりする力が養われます。
父親と多くの時間を過ごした男の子は、そうでない男の子と比べて凶暴性が低くなる傾向があります。男の子は父親から男らしさとは何か、強さとは何かなどについて学び、実際に男らしさを良い方向に出していくことができるようになります。また、男の子は父親から、年齢にあった男としての行動、性教育や衛生に関する知識を学ぶことができます。
社会学者のデビッド・ポペノエ氏は次のように言っています。「父親は単なる2人目の大人ではありません。特に子育てに積極的に参加している父親であれば、子どもは父親以外の人から学ぶことのできない事をたくさん学ぶことができます。」
父親は自分が子育てに欠かせない存在だと認識する
昔、日本では男は外で仕事をして女は家庭を守るという時代がありました。しかし現代社会の生活環境は以前の環境とは全く異なっています。共働き世帯が増えてきていますし、父親がもっと子育てに参加する環境が出てきています。育児休暇も実際に取ることができるのですが、まだ日本社会では男性が育児休暇を取ることについて批判的な考えを持っている人が多いのが現実です。
しかし、上記で見たように父親が自分の子どもと一緒に時間を過ごすことが、その子どもの人格形成にどれだけ重要であるかが分かったと思います。平日は仕事で子どもが寝てから帰宅するというお父さんもいると思います。せっかくの土日はゆっくり寝ていたい気持ちもわかります。
ただ、自分のかわいい子どもの事を考えたとき、「本当にそれでいいのか?子どもと過ごす時間をもっと作った方がいいんじゃないか?」と感じてくれることが第一歩かなと思います。
子育てというと母親が主体になるのは物理的に仕方のないことですが、父親が子どもにあたえる影響力は母親と同レベルなのです。ここをしっかり認識することによって、少しずつでもいいので母親にはできない父親としての子育てをしてみてはいかがでしょうか?
こんな偉そうなことを言っていますが、今回のブログは自分を戒める意味で書いていますw
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