親としての忍耐力をつける4つのステップ

子育て方法

「忍耐力」、これこそが子育てにおいて最も必要になる能力の1つといっても過言ではないでしょう。私は仕事柄たくさんの親御さんとお話しをする機会があるのですが、そんな時に私がよくする質問があります。「あなたがとってほしくない行動を子どもが取ったときどう対応しますか?」

この質問に対して、ほとんどの方は「怒ることがいけないとわかっていても、自分の感情をコントロールすることが出来ない時があるので、そんな自分が嫌になる時があります」と言われます。つまり忍耐力が欲しいという事ですね。

そもそも忍耐力とは何でしょうか?私を含む多くの親にとっての忍耐力とは「子どもが望ましくない行動を取った時でも平常心でいられること」です。つまり、その時の感情にまかせて子どもを怒鳴ったり、叱ったりして、そのことについてあとで反省する事ではなく、子どもの行動に対して適切かつ効果的に対応できるように感情をコントロールする事を意味します。

正直な話、感情をコントロールする「忍耐力」を完璧に身につける事は可能だと思いますか?現実的に考えてどうですか?人間には人それぞれの許容範囲があります。許容範囲が広いから良い親、許容範囲が狭いから悪い親という事ではありません。私たちは親である前に1人の人間です。これが人間の本質だという事を理解する事が「忍耐力」を養うための第一歩になります。

それではまず、親が忍耐力を必要とする場面をいくつかみていきましょう。

  • すでに「やってはいけないこと」だと教えている事に対して、子どもは何度も何度も同じ質問を投げかけてくる。
  • あなたは子どもに食べ終わったお皿をキッチンまで持ってくるように10回以上頼んでいるにもかかわらず、子どもは「はーい」と空返事を繰り返しテレビを見ている。
  • 月曜の朝、あなたは必死になって自分自身と子どもの物を準備しています。家を出る時間が迫っている中、子どもはまだパジャマのまま。
  • 長い一日が終わり帰宅をし、夕食の時間に子どもがけんかをしているのを仲裁しても止めないで、どちらかの子どもが大声で泣きわめく。

子育ては本当に大変で、上記のような状況を避けて通ることはできません。子育てには常にストレスがあります。それを念頭に置いて、忍耐力を高めるためにあなたが取ることのできる4つのステップをこれからご紹介していきたいと思います。

ステップ1:自分の我慢の限界を知る

まずはできるだけ具体的に「我慢の限界」をむかえる可能性が高いタイミングを特定するようにしてください。どこで、誰と何をしている時に我慢が出来なくなる可能性が高いですか?疲れたりお腹がすいている時、または眠たい時はどうですか?

私の場合、仕事で時間の制約がある時に邪魔をされたときに我慢の限界を迎える可能性が高くなる傾向があります。

どんな環境下で自分は我慢の限界を迎える傾向にあるのかを理解する事ができたら、次のステップ2に進みましょう。

ステップ2:子どもの悪い行動に自分がどう感じるかを確認する

子どもにとってほしくない行動を取られたとき、あなたは我慢の限界を迎えます。その時何が起こっているのかを客観的に見る様に時間をかけてください。あなたの体はどうなりますか?心拍数が上がっているのを感じますか?手のひらや全身から汗が出てますか?呼吸が苦しくなっていますか?体が熱くなっていますか?

  • 私がお願いしたことを子どもは全くやってくれない
  • 私が「ダメ」というと子どもはいつも反抗してくる
  • なんで私だけがこんなに大変な思いをしなければいけないんだ!

上記のような事が起こったとき、あなたはどんな反応をしますか?この情報は全てのパズルのピースのようなものであり、パズルを完成させるためにどのピースをどこにはめ込んでいけばいいのかを判断するための材料になります。

私の場合、我慢の限界を迎える時、身体が小刻みに震えて身体中の血が湧き出るような感覚になります。今は違いますが、以前の私は”All or Nothing”精神、つまり「無か全か」という思考でした。つまり思考が極端で良いことも悪いこともどちらかに100%振れる思考パターンだったのです。

我慢の限界に達したときにどんな思考をするのか、それは人によって異なってくると思いますが、ここで大切なことは、この思考法に陥ったという事は我慢の限界を迎えているという事を自身が把握する事です。いつどんな時に自分はこの思考になるのかを客観的に捉え、その(悪い)習慣を認識する事が重要です。

ステップ3:我慢の限界をコントロールする計画をたてる

ステップ2までで、あなたがどんな時に我慢の限界を迎えるか認識できたと思います。それではいよいよ、その感情に対するプランを作る段階に来ました。このプランは以下のことを含みます。

  • 事前準備:仕事が終わって家に帰ってからなど、どこかの時間で休憩できる時間や落ちつける時間を作ります。
  • 我慢の限界時:ここに達したら、まずはその場から少し離れてください。そして深呼吸して落ち着きを取り戻します。この時、落ち着くために決められた言葉やおまじないを決めておくことも効果的です。
  • フォローアップ:落ち着きを取り戻したら、その状況を確認して下さい。子どもと一緒に座って子どもの抱えている問題を一緒に解決するように話し合いましょう。もしあなたが子どもを怒鳴ったりしてしまった場合は、そのことを正直に謝罪するようにしましょう。

謝罪の力を過小評価してはいけません。親が子どもに謝罪することは、親の権威を弱めるのではないかと思われる方もいるかもしれませんが、そんな事はありません。それよりも「親でも間違いを犯す」、「間違ったときはしっかりと謝る」ことを子どもに見せることが大切です。子供は親の言うことを聞くのではなく、親のやっていることを真似るのです。親がしっかりとしたロールモデルになる事が一番大切です。

ステップ4:セルフケアの時間をとる

忍耐力を鍛えるのに大切なことは、あなたが子どもをケアするのと同様に自分自身をケアする時間を作ることです。子育て中の親は、大抵自分のことを後回しにする傾向があります。確かに子育てという過酷な仕事をこなして精神的にも体力的にも大変な環境下では、自分のことを考えることはできませんよね。

それでも一人で買い物に行ったり、カフェでゆっくりしたり、友達と外食したりなど、自分自身がくつろげる環境を用意してください。もちろんその時間は自分のパートナーや親に子どもを預けるなどして協力してもらうことも必要です。そうすることによって、精神的にも体力的にもあなたのエネルギーはチャージされ、子育てに前向きになり、子供たちとの関係もよいものになってくるでしょう。

私たちは親である前に一人の人間だということを再認識する

変な話ですが、我慢の限界を迎える(忍耐力を失う)ということは人間として正常だということです。人間は感情のある生き物です。私たちはみんな許容できる量に限界があります。そもそも完璧な人間はこの世に存在しません。色々と理想の教育や子育てが世に出回っていますが、その著者や提案者でさえも、それを完ぺきにできている人は絶対にいません。

そういった子育て論を学ぶことは大切ですが、完璧にしなければいけないというマインドになるのではなく、良いところを自分なりに取り入れていくという程度の気持ちでスタートすることが大切だと思います。1つできたらその次、それが出来たらさらにその次というように、自分のペースに合わせて一歩一歩前進していけばいいのです。肩の力を抜いて無理なく実践していきましょう。

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