3歳児になると、注意力が向上し、より多くの言語スキルが発達するにつれて、大人の指示に従えるようになり、自分の欲しいものややりたい事、考えをより上手に表現できるようになっていきます。
ただし、この時期の変化はそんなにスムーズに移行できるものではありません。精神的にまだ未熟なこの時期の子どもはかんしゃくを起こしやすいですし、精神的にまだ安定しない時も多いです。
身体的発達について
3歳児は身長や体重が大きくなるだけでなく、総合的な運動能力や微細運動能力も大きく成長します。もちろん、個々の成長度合いや体の大きさなどによって、その成長速度や能力の大きさには個人差があります。
子どもが成長するにつれて、子どもたちは自分の体の機能とコントロールの仕方について学びます。バランス感覚がどんどん良くなっていき、今まで出いなかったことも練習を繰り返すことによって、どんどんできる様になっていきます。
身体的発達の目安
- 総運動能力:ほとんどの3歳児はラインに沿って歩くことができ、平均台でバランスを取ることができ、スキップや後ろ方向に歩くことが出来る様になります。子どもたちは通常三輪車を漕いだ李、大きなボールをキャッチしたり、自分でジャンプすることが出来ます。
- 微細運動能力:3歳までに子どもは、自分で手を洗ってタオルで拭くことが出来るようになり、多少大人が手助けをしながら着替えができ、本のページをめくる事ができるようになります。そして鉛筆などをグーで持つのではなく、指で握ることが出来るようになります。
- その他:早い子どもはトイレトレーニングを始める準備が整っています。
実践ヒント
この頃の子どもはとにかく走ったり、登ったり、ジャンプしたり、常に動き回っているので、親として体力的にも精神的にも大変な場合が増えてきます。そんなとき、つい「じっとして」や「おとなしくしていなさい」と言いたくなりますが、子どもにとってこれらの行動は成長に不可欠なのです。3歳を超えると、より良い精神的バランスや協調性を発達させるためにも、身体的スキルを発達させることが必要なのです。
感情的発達について
子どもがストレスの多い状況に対処する事を学ぶにつれて、子どものかんしゃくや気性の粗さは、3歳頃をピークに落ち着き始める傾向があります。そのため子どもは「自分でやりたい」と主張をしてくる機会が増えると思いますが、実際に自分でやることを親に許可された場合、自分がやりたい事と現実にできないことのギャップでフラストレーションがたまり、その対処に苦労するでしょう。
3歳児の中には、親と離れ離れになる事を嫌がる子どももいます。そのため保育園や幼稚園に子どもを連れて行ったとき、親と離れたくないと泣いてしまったり、保育園自体は好きなのですが、親と離れたくないあまり「保育園に行きたくない!」と駄々をこねる事もあります。
感情的発達の目安
- 自分自身と自分以外の人の両方の感情を理解し始めます。子どもは自分の感情を親や周りの人に知らせるために、「嫌だ!」「悲しい」「うれしい」など簡単な表現を使うことがあります。
- 物をシェアしたり、順番に使ったりすることを学びますが、常にそれを受け入れられる状態ではありません。
実践ヒント
「悲しい」「怒っている」「幸せ」など、子どもとの日常会話で、自分の気持ちを表現する言葉を使い始めます。子どもの感情に関する語彙力を伸ばしてあげることによって、子どもは自分の感情を言葉で表現する方法を簡単に学ぶことが出来ます。
社会的発達について
3歳になる頃に、他の子どもとの関わり方に変化がみられる場合があります。それまで行っていた平行遊び(子供たちが互いに近くに集まっているが、それぞれが自分で遊んでいる状態)からグループ遊び(実際に他の子どもと協力して遊ぶ)に移行し始めるタイミングです。これは子どもたちが人間関係のバランスを取る方法を学ぶために多少のサポートが必要になる事を意味します。
まだママやパパが自分の遊んでいる近くにいてもらいたいと思っている3歳児もいますが、3歳児はたらしい友だち(または架空の友だち)と真の友情を築き始める事が出来るようになります。この頃の年齢の子どもは、自分が好きなものに影響されます。そのためテレビや本などから自分の好きなキャラクターを真似する事も良くあります。
社会的発達の目安
- 他の人が傷ついたり怒ったりしたりするとその気持ちに共感を示し始め、その人を慰めようとすることもあります。
- 兄弟や姉妹、他の人が「間違っている」と感じた場合、ケンカになる可能性があります。
- 親から子どもに「ハグしようね」や「いい子いい子してあげてね」などと提案することなしに、子ども自身で自分の愛情表現を示すことが出来るようになります。
実践ヒント
3歳児は、「自分のもの」と「他人のもの」の違いを理解し始めるので、自分のおもちゃを他の子どもとシェアすることに苦労する場面を見る事があると思います。大人がそこに介入して誰がどのおもちゃで遊ぶんだよとするのではなく、子ども同士でそれを理解するように促すようにすることが大切になります。しかし、子どもが攻撃的になった場合は、すぐに介入して対処しましょう。
認知能力の発達について
3歳児の認知能力の発達は、ひらがなや数の数え方を学ぶだけではありません。質問する事や情報を処理して理解する事を含む情報を吸収する学習プロセス全体に渡ります。
3歳児の脳みそはスポンジのように何でも吸収できるので、どんどんと物事を吸収していきます。親として、その「吸収した情報で何をするかを知る事」をサポートして上げてください。子どもたちは今まで以上にじっと座ってより長い時間集中することが出来るようになっているので、子どもの周りにあるものを多く吸収して取り入れる事ができるのです。
この時期は子どもの想像力が開花します。記憶力がどんどん発達し、自分の周りの世界に対してより理解し始めます。それにつれて、色々な質問が飛んでくるようになります。それらの質問の答えがわからない事も多々あります。この質問攻撃は、世界についてもっと学ぶ彼らの方法なので子どもからの絶え間ない質問攻撃に耐える忍耐力を養ってください。
言葉と言語
3歳児は約300語の言葉を話すことができ、さらに多くの数の言葉を理解している可能性があります。簡単な文章で会話ができ、理解力も日に日に伸びていきます。
遊び
上述したように、子どもは平行遊びからグループ遊びをし始め、友情をはぐくむことが出来るようになります。子どもはこの年齢になると順番を守ることが出来るようになってくるので、簡単な遊びやゲームから我慢することについて学ぶことが出来るようになります。
認知能力発達の目安
- 本を読んでもらうことが好きで、自分で読んでいるふりをすることもあります。
- 基本的な形と色を認識します。
- 数字を口に出します。
実践ヒント
子どもの言語能力を発達させるために、できる限り子どもを会話に参加させてください。子どもからの質問に答えてあげる、あなたが子どもに質問するなどをしてください。基本的には子どもからの質問に答える事が多いでしょう。本を読むときは、ただ本に書かれている文字を読むだけでなく、登場人物や物語について話して下さい。
どんな時に相談するべきか?
3歳児になると成長や発達の速度の違いは今までよりも小さくなります。今まで発達や成長が少し遅かった子どもも、3歳を超えたあたりから徐々に追いついてくるでしょう。但しアメリカの疾病予防管理センターでは、3歳児の子どもに以下のいずれかの兆候が見られた場合、医師に相談する事を勧めています。日本の場合もほとんど同じなのでぜひ参考にしてみてください。
- よだれを垂らしたり、不明瞭な話し方をする
- 単純なおもちゃで遊べない
- 文章で話すことができない
- 簡単な指示、命令がわからない
- ごっこ遊びをしない
- 他の子どもやおもちゃと遊ばない
- アイコンタクトを取らない
- よく転んだり階段の上り下りが難しい
- 今までできていたことができなくなる
最後に
これらの発達の目安が絶対に正しいという訳ではないので、その点は十分にご留意ください。全ての子どもは独自性があり個性があります。自分の子どもは他の子と比べてできない事が多い、またはほかの子どもよりも早く成長し過ぎている場合もあるかもしれません。
ご自身の子どもについて何かしらの懸念がある場合は、自己判断するのではなく、小児科医や子どもの発達や成長の専門家に相談する事をお勧めします。
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