5歳児の発達には、極端な感情と矛盾する言動が見られます。この年齢の多くの子どもたちは、幼児期のその先の段階に上る準備にとりかかる時期に来ています。
この時期の子どもは幼児よりもはるかに自制心を示すことができ、椅子に座って人の話をしばらくの間聞くことが出来るようになります。同時に、この年齢の子どもはまだ感情を調整する事を学んでいる段階であるため、何かしらの小さい事をきっかけに、かんしゃくを起こしたり、わめき散らすこともあります。
身体的発達について
幼児期にあったふらついたり、ぐらついたりしていたことがなくなり、動きがよりコントロールされ、正確に動くことができる様になってきます。
5歳児になると多くの子どもたちは、いままでぽっちゃりしていた頬がスッとして、よりお兄ちゃん、お姉ちゃん感が強くなってきます。これは今まであった脂肪が少なくなり、筋肉が増えてきている証拠です。成長の目安としては、体重は2kgほど、身長は5~7cmほど、視力は1.0ほどになります。
身体的発達の目安
- 総運動能力:飛んだり跳ねたり、スキップしたり走ったり、ジャンプしたりする子供の能力がどんどん発達し始めます。子どもは体感が良くなり、筋肉の動きの協調がしっかりしてきます。
- 微細運動能力:小さな筋肉がより細かく協調され、一人で着替えること、ボタンやジッパーを自分でできるようになり、靴紐の結び方を学ぶことができる容認ります。
- その他:フォークやスプーン、箸などの使い方が上手になってくるので、食べ物を切ったり口に運んだりする能力が向上ので、食事の仕方のレベルが上達していきます。
実践ヒント
子どもが新しいことができる様になってきたら、新たな目標を与えてあげてください。これは、子供が挑戦し続けるための能力を養う絶好の機会です。例えば、フォークや箸の使い方が上手になってきたら、テーブルマナーを教え始める事などです。
感情的発達について
5歳になると子どもは感情のコントロールがさらに上手になり、もう小さい子どもからお兄ちゃん、お姉ちゃんと言える世界に入ります。多くの5歳児は人を喜ばせる事が大好きで、積極的に友だちを作り、大人からの褒められることを求めるようになります。
とは言っても、まだまだ子供の部分もたくさんあるので、時には感情的になったり、かんしゃくを起こしたり、矛盾する行動を取ることもあります。
さらに5歳児になると子供たちは自分の気持ちをしっかりと表現し始める時期になります。例えば早く寝なければならない時には「まだ寝たくない」などの表現をしてくるようになります。
子どもたちは人に共感することを自然に覚え、友だちが嫌な思いをしているのを見ると、「大丈夫?」などと声がけをすることもあります。さらに「ママに怒っているよ」など、自分が何かに対して腹を立てている場合、子どもは自分の考えをしっかり伝える事も出来る様になります。
感情的発達の目安
- 過度な動揺なく親と離れることができる
- 他の子どもと遊んだりものをシェアできる
- 大人向けの事(子どもにとってはつまらない事に)少なくとも5分間は参加できる
実践ヒント
5歳児は、怒りや欲求不満などの感情を処理するための適切な方法を子どもに教え始めるのに重要な時期になります。絵を描く、静かに数を数える、深呼吸する、心と身体を落ち着かせる方法などについて話しをしてあげましょう。
社会的発達について
新しい友だちを作り始め、家族の外にある世界(先生や友だちなど)との関係づくりを経験し、独立した1人の人間として歩き始めます。5歳になる子どもの社会的また感情的な成長の目安の多くは、子どもが今後小学校に上がるための準備に関連していきます。
そのため、5歳児にとって友情はますます重要になり始めます。この頃の子どもは特定の選ばれた友だちに引き寄せられ始め、2~3人の友だちと親密な絆を築く可能性があります。
社会的発達の目安
- 友だちを喜ばせたい
- ルールを理解して従う傾向が高くなる
- 他の子どものようになりたいという思いが出てくる
実践ヒント
小さな友だちのグループができたり、仲間外れにされたりすることが出てくるので、子どもが遊んでいる時にしっかりと観察することが重要にります。いじめは保育園や幼稚園でも起こることがあるのですが、この年齢の子どもはいじめに対応するスキルがほとんどないため、大人の介入が重要です。
認知能力の発達について
5歳になると「正しい事」と「間違っている事」の違いを理解し始めます。そしてルールの概念を理解する事ができ、そのルールに従うことができるようになります。
5歳になるまでに子どもたちは、より高いレベルで自分自身の事を考えて表現することが出来るようになります。保育園や幼稚園では、学問的な取り組みや状況にあった行動を取る事などに興味を示す事が出てきます。
言語と言葉
自分の欲求やニーズを自分の言葉で表現することが出来るようになります。子どもたちの言葉は、普段接していない大人が聞いてもしっかりと理解できるレベルになります。また、今まで以上に複雑な指示を理解する事ができるようになります。
さらに、位置に関する言葉を理解する事ができるようになるので「上」「下」「隣」などの単語を大人が使ったとき、子どもは大人が何を意味するのかをしっかり理解できるようになります。
遊び
5歳児はお店屋さんごっこなどの「ごっこ遊び」が大好きです。大人のいる部屋から離れて子どもたちだけで遊ぶこともできます。何か小さなケンカやいざこざがあったとしても、大人の介入なしに解決する事もできる様になってきます。
新たな身体的スキルも子供たちの遊びの幅を広げることに繋がります。補助輪なしで自転車に乗ることが出来る様になったり、ボールを使って今までできなかった複雑な遊びができる様になります。
認知能力発達の目安
- 10まで数えることができる
- 「話す」というスキルを「読む」「書く」ことに拡大し始める
- 歌ったり、役を演じたり、踊ったりするのが好きになる
実践ヒント
子どもは様々な経験を通じて、今までできなかった新しいスキルを学び、さらにすでにできていた事がレベルアップしてより実践的に使えるようになります。新しい工作、運動などを教える事によって、こどもたちのそうしたスキルがさらに伸びていくことになるでしょう。
その他の発達について
5歳頃になると子供の歯が抜け始めます。これから数年かけて永久歯になっていきます。小児歯科医は、通常グラグラした乳歯を無理に取ることを推奨しません。グラグラした乳歯が自然にとれるまで注意してみてあげてください。
また、5歳になると自分で歯を磨くことが出来るようになりますが、まだまだ磨き残しが多いので、親がしっかりと仕上げ磨きをすることが大切です。
お風呂の時自分で体を洗うことが出来るようになり、トイレのとき自分のお尻を拭くことが出来るようになってきますが、しっかりと拭くことができるまで親がしっかりと見てあげましょう。
どんな時に相談するべきか?
5歳児の成長スピードも個人差がありますが、アメリカの疾病予防管理センターでは、5歳児で下記のいずれかがみられる場合は、小児歯科医や専門家に相談する事を勧めています。
- 感情表現が少ない
- 異常な恐れ、攻撃的、悲しみなど極端な行動を示す
- 極端に引きこもる
- 注意散漫、1つの活動に5分集中する事が難しい
- 人に反応しない、または反応が薄い
- 何が本当で何が作り話かの区別が出来ない
- 色々な種類の遊びやゲームをしない
- 苗字や名前を言えない
- 文章で過去形などの使い方が適切でない
- 日々の活動や経験について話さない
- 絵が描けない
- (完璧かどうかは関係なく)歯みがき、手洗い、服を脱ぐなど親の助けがないとできない
- 今までできていたことが出来なくなる
最後に
保育園や幼稚園では年中さんの年齢なので、来年は年長、そしてその次は小学生になるので、子どもがしっかり小学校の準備ができるのか不安になる方もいらっしゃるかもしれません。
子どもの事でなにか特定のスキルについて懸念がある場合は、子どもと一緒にコミュニケーションを取りながら一緒に取り組んでみてください。それでも心配な場合は、医師または専門家に相談する事をお勧めします。
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