今の日本人の大人は中学校の頃から英語の勉強をはじめ、高校までの6年間、大学に行く人は合計10年間英語を勉強します。
ある程度の意思の疎通ができるレベルの英語であれば、そこそこ日本人でも話せる人はいると思います。しかし日本人で英語を流暢に話せる人って100人いても1人いるかどうかだと思います。
実は、日本人が英語を話せないのには、きちんとした理由があるのです。今回はその理由5つを紹介していきたいと思います。
1.間違った日本の英語教育
日本では英語を学問として教えています。言語学者になるのであれば、日本の英語教育はあながち間違っていないと思います。
しかし、「英語を話せるようになる」事を主軸に考えると、全くもってして間違った教育をしています。
人間が言葉を覚える順番は「聴く→話す→読む→書く」です。しかし日本の英語教育は「書く→読む・・・・」以上です。
その結果、日本人の英文法力や語彙力は非常に高いにも関わらず、外国人が何を話しているのか全くわからず、自分が言いたいことが全く口から出てこないという事になってしまうのです。
2.間違う事を極度に「悪い事」扱いする
日本の教育というか文化的背景もあるのかもしれませんが、とにかく間違うことに対してネガティブなイメージを植え付けます。間違うことがないのであれば、そもそも勉強する必要はないのです。間違いから学んで、それが自分の血となり肉となるのです。
小さいうちから「間違うことがダメな事」と教わってきた子供たちは、間違わないように消極的になり自分の意見を言わなくなります。英語を話すときに大事なことは、とにかく声に出すことです。声に出してどんどん間違えることが本当に大切です。
でも日本の「間違い=悪いこと」の環境で育つと、まず頭の中で完璧な文法の英語を作り上げてから声に出す・・・出してみる・・・出してみたい・・・出せたらいいな・・・という負のスパイラルにはまってしまっています。
私たちだって子供の頃、思い切り日本語間違って使ってたじゃないですか。その時恥ずかしいなんて思いましたか?その頃の気持ちを思い出してください。口に出して間違うことによって英語は伸びていくのです。
3.日本独自の文化や習慣が英語の上達を邪魔する
日本人の独特の文化や習慣、特に「出る杭は打たれる」と「空気を読む」事が英語の上達を邪魔しているように思います。
英語をはじめとする語学を学ぶときに最も大切なことは、とにかく話すことです。
日本人はどちらかといえば、「多くを語らずに相手を理解する」ことを美徳としています。いわゆる相手の気持ちを察するという事です。
日本は単一国家民族であるので、ほとんどの人が同じ言語(日本語)で育ち、日本の教育を受け、日本の文化や習慣がバックグランドにあります。そうすると考え方も大きくみると、ある程度同じ方向に向く傾向があるのでしょう。
そのような背景から、日本では「空気を読む」すなわち、言わなくても空気を察して行動することが良しとされているのでしょう。
また、他人と違って目立つ人間は、まわりから叩かれる傾向もあります。例えば中学や高校の英語の授業では、「カタカナ英語が普通、本物っぽい英語の発音をする事は恥ずかしい」という訳の分からない暗黙の空気が流れています。
例えば”girl”を日本人は「ガール」と言いますが、これでは英語ネイティブには絶対に通じません。もちろん日本在住歴が長い外国人であれば、カタカナ英語を理解しているので通じることはあります。しかし日本に旅行で来る方や在住歴歴が浅い方などには通じません。
ガールをgirlと発音するだけで「あいつ格好つけてる」と思われ、本来であれば何度も正しい発音に近づけるように口に出して練習する必要があるのですが、その時間が全く取れない状況になっているのです。
4.そもそもカタカナが諸悪の根源
上述したような中学・高校での英語の発音問題もそうですが、そもそも日本では外来語をカタカナにしてきた背景があります。このことに関して問題はないのですが、「カタカナ=外国語」が問題です。
日本の英語の先生は日本の英語教育を受けてきた方々がほとんどなので、文法や語彙力、読解問題などは教えることはでいますが、会話となると全くできない方が非常に多くいます。発音もいわゆるカタカナ英語です。
そんな先生に習った生徒がきちんとした発音を身につけることができるでしょうか?カタカナは日本語であって英語ではありません。英語は英語の音で理解すること、これは本当に大切なことです。
小さい子供はカタカナを知りませんので、英語圏の人が発音した音をそのまま口に出します。例えばうちの息子は2歳の時に”purple”と聞いたとき、「ペーポー」と口にしました。通常の大人の日本人であれば「パープル」と発音すると思います。これは紫=パープルというカタカナのせいです。どう聞き間違えてもpurpleはパープルに聞こえません。
日本にくる外国人が最も混乱するカタカナ英語に「マクドナルド」があります。マクドナルドは英語で発音すると全く違います。カタカナで一番近く表現して「ミッダーナーズ」だと思います。
このようなカタカナ英語は日本人同士でしか通じない、英語でない英語(ジャパングリッシュ)なのです。
5.英語の音に触れる時間が圧倒的に少ない
日本で生活をしていると、意識しない限り英語の音を聞く生活はできません。仮に週1回や2回英会話に通っていても、生活の99%は日本語の環境でしょう。それでは英語がうまくなるはずがありません。
新しい言語を理解して話が出来るようになるのにはおよそ2000時間が必要だと言われています。もちろん個人差がるので、一概には言い切ることはできませんが1つの目安にはなると思います。
例えば週1回1時間の英会話に通っている場合、1ヶ月で4時間、1年で48時間しか英語に触れていません。これでは英語を話せるようになるのに41年もかかってしまいます。だからほとんどの日本人は英会話スクールに通っても英語を話せるようにならないのです。
本当に英語を話せるようになりたいのであれば、最低1日3時間は英語の環境に身を置くように心がけましょう。そうすれば1ヶ月で90時間、1年で1080時間、つまり2年で英語を話始める事ができるでしょう。
日本で英語の環境に身を置くのであれば、例えばテレビは副音声の英語で見るようにする、NETFLIXなどのコンテンツを英語で鑑賞する、海外のラジオを聴く、外国人の友人をつくる、オンライン英会話をするなど、やる気になれば方法はあります。
言語習得はよく「穴の開いたコップに水を注ぐもの」と例えられますが、ものすごくいい例えだと思います。水を注ぐ量が穴から出ていく水の量よりも多ければ言語習得というコップは少しずつ水でいっぱいになっていきます。
言葉は使わないと忘れると言うとおり、もし水を灌ぐのをやめてしまえば、蓄積された水は穴から出ていきコップは空になってしまいます。
ほとんどの日本人は中学校からの英語教育で培った高い語彙力、文法力があります。あとは間違いを恐れずに、ひたすら英語を聴いて口に出す訓練をし続けることです。
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