プロスペクト理論という理論をご存知でしょうか?この理論は「人間は本質的に損失回避的である」という事です。例えば、100万円儲かる時に得られる喜びと100万円損する時に得る悲しみを比べると、損をしたときの悲しみの方が儲かる喜びの2.5倍大きいのです。
よく考えると不思議ですよね。同じ100万円という金額がプラスの方向に行くのかマイナスの方向に行くのか、動く額は同じなので、普通に考えれば利益の喜びと損失の悲しみは同じ大きさになるはずだと思いますよね。
しかし実際には悲しいという気持ちの方が喜びの気持ちよりも2.5倍大きいという事実があります。要するに人間は本質的に損をするのは避けたいという気持ちが強い生き物だという事です。「儲からなくてもいいから損だけはしたくない」という気持ちが働くのです。
そういった気持ちを持った人間がどういった行動をするようになるのか考えてみましょう。損をすることを避ける=リスクを取らないという事なので、できるだけリスクを取らない行動を取るようになってしまいます。
しかしリスクを取らない限りリターンを得る事ができないという事実も理解しましょう。そのためにはまずリスクとは何か、このことを知ることから始めていきましょう。
本当のリスクが何なのか知っている人は意外に少ない
日本人の貯蓄率は世界でも異常に高い事は有名です。その理由は日本人が投資に対するアレルギーがある事もありますが、貯金は安全だという間違った概念があるからだと考えています。
「貯金=安全」と考えている人は、「貯金=預けている銀行に投資している」という認識はないと思います。今後数年で日本の銀行はかなり危険な状態になってくると言われています。その理由はGAFAと呼ばれるアメリカのGoogle, Amazon, Facebook, Appleなどが金融業界に参入してくるからです。詳細はいずれ別のブログで書いていこうと思いますが、銀行にお金を預けているという事は、危機が迫っている日本の銀行に対して投資をしているという感覚を持つことが大切です。
日本の銀行は貯金額1000万円以上のものについては元本保証はされていないのをご存知ですか?例えば銀行に3000万円預けていたとします。もしその銀行が破綻した場合、元本1000万円と破綻当日までの金利は保証されますが、それ以外の金額は保証されません。つまり、上記の例の場合、3000万円のうち2000万円(金利は計算に入れない)は返ってくる保証はないという事です。
そんなリスクを背負ってまで預けているお金ですが、その金利は0.001%で、みずほ銀行、三菱東京UFJや三井住友銀行といったメガバンクの定期預金の金利でも0.002%です。つまり1000万円預けて1年間で100円しか金利がつかないのです。ATMを営業時間外で1回使ったら1000万円の金利1年分はあっという間に吹き飛んでしまいます。
あなたは下記のような投資商品があったらその商品に手を出しますか?
・元本:1000万円まで保証
・金利:0.001%/年
・引き出し手数料:110円~220円(投資額1000万円の年利以上)
日本の銀行にお金を預けているという事は上記の投資商品を買っているのと同じなのです。では、多くの日本人はなぜこんな投資効率の悪い商品を買っているのでしょうか?それは思考停止になっているからです。銀行にお金を預けるという事を空気を吸う事と同じような感覚で「銀行にお金を預ける事がどういうことか」ということを考えるという考えを持つことがなかったのです。
金利の比較
投資をする目的は、投資した金額を元に利益を増やすことです。今まで貯金しかしてこなかった人にとっては「投資」というとリスクが高くて怖いものだという認識を持たれている方もたくさんいると思います。しかし前述のように「貯金」をしている方はすでに「リスクの高い投資」をずっとしてきているのです。
そこで投資対象を「貯金」以外のものと比べて、同じ金額を同じ年数預けた場合の金利の差を見ていきたいと思います。もちろんこれらの数字は過去のものなので、この数字がこれから同じ数値で伸びてくことを保証するものではありませんが、世界の情勢や経済について勉強していけば色々と「考える」ようになると思います。
投資に限りませんが、まずは「考える」癖をつける事が大切だと思います。「みんながやっているから」とか「親もそうやっていたから」など、何も考えずに行動する事を辞めるようにしてみましょう。
学資保険に入った場合
日本では様々な学資保険があります。子どもが産まれたら「学資保険」に入ることを検討される方もいらっしゃると思います。しかし、思い出してください。「考える癖」をつけましょう。なぜ学資保険にはいらなければいけないのか、他の選択肢はないのか?
学資保険は利率の高いもので10年で106%などになります。つまり300万円の学資保険に入れば10年後に318万円になって帰ってくるという事になります。つまり1年間で1年間で18000円の金利(単利)がつくという事です。銀行に同額貯金した場合、10年で300円、つまり1年間で30円の金利しかつかないので、貯金と比べれば600倍の金利がつくという事になります。
学資保険の一番のデメリットは10年間保険の場合、満期まで待たないと解約返戻金が元本を割ってしまう事です。ですから1度学資保険に入ったら満期まで使えないという事を覚えておきましょう。
S&P500に投資した場合
1991年からの30年間におけるS&P500の金利は平均年率9.3%という驚異的な結果が出ています。つまり30年前に預けたお金が12.4倍になったという事です。300万円預けていたら3720万円になっていたということです。
もちろん結果論なので今後もこの数字のように伸びていくかどうかはわかりませんが、長期的に投資をする事でしっかりと資産運用する事ができる事はわかります。しかし金利が9.3%/年というと1年で300万円が327.9万円になるという事です。つまり1年間で27.9万円増えるという事になるので、銀行に貯金した場合と比べて、なんと9300倍の金利がつくのです。学資保険と比較しても15.5倍です。
単利と複利
資産運用を行う上で理解しておくべきことに、「単利」と「複利」があります。あの有名なアルバート・アインシュタインが「人類最大の発明」と言ったのが、実はこの「複利」なのです。
そもそも複利とは何なのか?わかりやすく説明していきます。複利とは「元本だけではなく、利子が利子を生む」という考え方です。この複利の対義語が「単利」であり、最初の元本のみに利子を生み続けるという事です。
例えば100万円を年利5%で運用したとしましょう。単利の場合、1年後は5万円の利子が付くので残高が105万円になります。2年後は更に5万円増える(元本の100万円に対する利子のみ)ので残高110万円、3年後には残高115万円になります。つまり3年間で15万円の利子がついたことになります。
反対に複利の場合をみてみましょう。1年後は100万円の元本に対して単利と同じく5万円の利子がつくので残高は105万円、2年後は105万円(元本の100万円と1年目の利子5万円)に対して5%の利子がつくので110万2500円になります。そして3年目は110万2500円に対して5%の利子115万7625円になります。
複利の凄いところは時間が経つにつれてそのリターンが加速度的に大きくなるところです。上記の例の30年後をみてみましょう。単利の場合、30年後の残高は350万円(利益250万円)ですが、複利の場合の残高は532万円(千円以下四捨五入)になります。つまり30年間の利益が432万円以上にもなるのです。30年で単利と複利で1.7倍もの差がついてしまうのです。金利が5%でなく7%、9%と増えていけばさらにその差は広がります。
さて、資産運用の必要性、投資に対する理解がある程度できたところで、次回は実際に子育てに必要なお金をどうやって工面していくか、どのような資産運用がいのかをいくつかの例を使ってみていくことにしましょう。
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