衰退していく日本から出る選択肢を子どもに与える必要性

人生設計

日本は豊かな国であると思っている人は多いと思いますが、2021年の現在日本は決して豊かな国ではないのです。しかし日本の中にいるとそれを肌で感じる事はあまりありません。私は仕事がら多くの外国人の方と接する機会があります。日本に観光に来られる方が口をそろえておっしゃることが「日本の物価は安い」という事です。

一昔前日本のDGPがアメリカに次いで世界2位でした。しかし今では中国に抜かれて世界3位です。世界3位と言っても200近くある国の中で3位は大したものだと思うかもしれません。しかしこの世界3位と言う数字はまやかしなのです。そもそもGDPが高い理由は、その国の人口によるところが大きいからです。1人当たりのGDPで見ると日本は世界33位で先進国で最下位なのです。

そんな日本ですが、日本の将来は今よりももっと悪くなると予想されています。あなたは日本の将来に関してしっかり考えた事はありますか?日本の将来と言っても100年後の世界とかではなく20~30年後の世界、私たちの子どもが社会人としてバリバリ働いていて、私たちが高齢者として生活している世界の事です。

いろんな角度から考えた結果、子どもたちが社会人として働き始める頃の日本の未来は決して明るいものではありません。だからと言ってふさぎ込んだり諦めたりするのではなく、将来高確率で日本の未来が今より悪くなることを想定して今後どのように生きていくのか、子どもにどのような生き方をしてもらいたいのかをしっかり考えるきっかけになればと思います。

通常親は子どもより先に亡くなります。そうすると子供は自分たちがいなくなった後も彼らの人生を生きていくことになります。そうしたときに「選択肢」が多い人間と少ない人間では人生の可能性が全く違ってきます。つまり親として子どもに与えられる最も大切な事の1つが「いかに多くの選択肢を持てる人間に育てられるか」だと思います。

超高齢化社会の日本

日本の人口は2008年をピークに減少が始まりました。全人口数はこれから時間をかけて減っていきますが、高齢者の占める人口比率はこれからどんどん上がってきます。65歳以上の高齢者率は1950年は4.9%、1985年は10%、2005年には20%を超え、2019年では28.4%となっています。2025年には30%を超え、2040年には35.3%になると見込まれています。

1950年の頃は12人の若者が1人の高齢者を支えていましたが、2040年になると1.5人で1人の高齢者を見なくてはなりません。これはつまるところ我々子育て世代が20年後には高齢者として自分たちの子ども1.5人によって支えてもらう側になるのです。皮肉にも私たちが長生きすればするほど子どもたちに負担をかけ続けてしまうのです。

若者の人数が減るという事は所得税や法人税なども減ってきます。国として財源の確保が難しくなってしまいます。そうすると消費税増税は必ずしなければなりません。最低でも消費税を20%にしないと国はやっていけないでしょう。それ以外にも年々上がり続けている社会保険料もさらに増税され、サラリーマン世帯を直撃します。

2007年生まれの子どもたちの半数は107歳まで生きると言われています。それ以降の子どもは更に長く生きる可能性があります。今の子どもが高齢者になる頃、2070年には日本の人口は8000万人ほどになるとの予測もあります。高齢者率が40%程になるので2.5人に1人が高齢者という世界になっています。その頃の税金や年金の事を考えただけでもゾッとしますね。

グローバルスタンダード(世界基準)の教育

2018年、日本でもようやく保育所保育指針や学習指導要領の改訂があり、「自分で考えて行動できる」「アクティブラーニング」「非認知的能力」と言った能力を育むことを大切にしていくという流れになりました。しかし欧米諸国を中心とした海外ではすでにそういった教育が何十年も前から行われており、日本の教育は世界基準で言うとかなり遅れているのが現状です。

もちろん「学力テスト」などの点数は世界の中でもトップに入りますが、今までの日本の教育はそうした学力向上に偏り過ぎており、人間力や非認知的能力を育んでいくという観点から見ると十分な教育がなされていませんでした。

学校の勉強は数値化できる「認知的能力」の向上を最重要課題としており、さらに大学進学の際には一発勝負の受験で合否を決め、大学に入ってしまえばよっぽどのことがない限り4年で卒業できてしまうという学校の在り方自体に問題があります。

海外の場合、例えばハーバード大学では受験というものはありません。高校4年間の成績を見られます。但し学校の成績さえよければ合格できるのかというとそうではなく、どんな夢を持っているか、どんなことを学んできて、どのように考え、どのように成長してきたかなどをエッセーと言う形で提出します。また、ボランティア活動、課外活動も評価対象になります。学校の先生からの推薦状も重要視されます。

大学に入学してからも、学生は尋常ではない程勉強をします。学生中にインターンシップを経験したり、起業をしたりする学生も少なくありません。こうして学生中に社会人としての経験をすることによって、大学卒業後に即戦力として仕事を始める事が出来ます。

このようにして日本と海外の教育には大きな違いがあります。この「海外」は欧米諸国だけではなく、アジア諸国や中東などの国も含まれています。日本の大学を卒業して日本で社会人になった人が海外で仕事をするとき、この「ギャップ」を埋めるのにものすごく苦労します。私自身も経験しましたが本当に大変でした。

自然災害

2014年、政府の地震調査委員会が示した南海トラフ沖地震と首都直下型地震の発生率は「今後30年以内に起こる確率が70%」という事でした。つまり2044年までにほぼ間違いなく地震が起こるという事です。2044年と言うと我々親世代も高齢者の仲間入りをする事で、子どもも社会にでて仕事をバリバリしている頃です。

首都直下型地震が起きた場合、死者数は23000人、家屋の全壊・全焼は61万棟を超え、南海トラフ地震の場合は、死者数は231000人、家屋の全壊・全焼は209万棟以上になると想定されています。経済的損失は首都直下型地震で778兆円、南海トラフ地震で1410兆円という天文学的数値になります。日本の国の年間予算が約100兆円なので、この数字が示す意味が分かると恐ろしいです。

自然災害は地震以外にも富士山の噴火や台風被害など、様々なものが想定されますが、ほぼ高確率で来るとわかっている地震に対して今親として子供のために何ができるかを考えてみましょう。それが「選択肢」を増やしてあげる事ではないでしょうか?

首都直下型や南海トラフ地震が起きた場合、その地域以外に住まわれている方は直接的な被害はないかもしれませんが、東京が壊滅的ダメージを負ってしまった場合、日本全体の経済がストップする可能性が非常に高いです。

こうして想定できる事態に対して今から対応策を考える事はとても大切です。しかし今回の新型コロナウィルスのように想定外のことも今後たくさん起きてくることでしょう。そうした時代を生きていくには、その時々の状況かで最適解を見出していく「批判的思考能力」や、瞬時に判断できる「意思決定力」、目の前の課題を解決する「問題解決能力」など、非認知的能力を持つことが非常に重要になってきます。そういった能力を持ち合わせている人は、どんな状況かでもたくましく生きていくことが出来るでしょう。

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