子どもとの距離感を今一度考えてみる

子育て方法

子育てをしていく上で、子どもに対してどこまで関わってやるべきなのか迷うことがあると思います。日本人は過保護だと言われますが、過保護になるのは子どもが心配だからです。つまり「親である自分がいないと子どもは生きていけない」という考えが根本にあるのではないかと思います。

ある意味子どもは大人がいないと生きていけません。自分でご飯を作って食べる事が出来ないので、親に作ってもらって食べさせてもらう。こうした人間が生物として生きていく上で最低限なことは親の助けが必要になってきます。

しかし精神面や体力面など、子ども自ら経験して伸ばしていかなければならないスキルや能力もたくさんあります。もちろん親として何もしなくても良いという訳ではなく、程よい距離感でサポートして上げる事が大切になります。

初めて子育てをする親も、生まれてきて何もかも初めてな経験になる子どもも、色々と失敗を繰り返して共に成長していくことが大切です。今回は大人と子どもの関わり方について考えていきたいと思います。

子どもは大人の真似をする事を意識する

「子どもは大人の言う事を聞くのではなく、大人のやっていることを真似する」とよく言われますが、本当にその通りです。今回の教育の変革期をどう考えて何を実践し、結果に対して何を考え軌道修正していくのか、こうした動きを実際に子どもと一緒に行うことによって、子どもは「色々試行錯誤して間違いを繰り返しながら、忍耐力をもって最適解を探している」ことが正しいことだと認識します。

もし大人が「いきなりアクティブラーニングなんて言われたって、習ったことないんだからできるわけない!」と考えてしまったら、子どももそのように考え行動するようになります。できない理由は誰でも簡単に見つけることができます。しかし、どうしたらできるようになるか?このマインドを持つことがとても重要です。

このマインドを持つために、まずは自分の考えの主軸を「自分軸」から「子ども軸」へとシフトさせる必要があります。あなたは自分の子どもに「言われたことしかできない大人」になってもらいたいですか?それとも「どんな状況でも自分で考えて行動できる自律した大人」になってもらいたいですか?ほとんどの方は後者を選ぶと思います。

そうです。親は子どもには「自分で考えて行動できる大人」になってもらいたいと本気で思っているのです。なので、「子ども軸」で物事を考えれば、「できない」という選択肢はなくなってくるはずです。「子どものために」どうしたらできるかを考える癖をつけていきましょう。そんな親を見ている子どもは「考える」ことが良いことなんだと理解していきます。

子どもとの対話を大切にする

そもそも多くの日本人は「大人>子ども」の考え方がベースにあると思います。しかし本来であれば「大人=子ども」なのです。子どもとは体の小さい人間であり、自分の考えをもち、感情があり、自分で行動することが出来るのです。

私が長男をアメリカで育てていた時の話ですが、現地のプリスクールに入園したての頃長男は2歳児でした。今までの日常とは全く違う環境に放り込まれて不安だった気持ちもあるのでしょう。園では泣き叫んでいた時もありました。

そんな小さな子どもに対して、アメリカ人の先生は息子に対して対等に話をしていました。悲しい気持ちだよね、新しい環境に慣れるのは大人でも大変なことだよ。しかも君にとってアメリカは外国だし周りに日本語を話せる人もいない。そんな環境であれば誰も不安になるのは当然だよね。」といった感じで息子に対して話てくれていました。

もちろん当時2歳の息子は日本語もままならなかったですし、英語なんて全く話せなかったので、先生の言っている意味は理解できません。しかし、先生の目線や表情、言葉の抑揚やジェスチャーなどで安心感を与える事が出来ます。

そのような対応をずっとしてくれていたおかげで、先生と息子の中に絆が芽生えていきました。それから息子は園に行くことが楽しみになり先生とのコミュニケーションも上手になっていき、英語で生活することに慣れていきました。

このように2歳児の子どもに対して子ども扱いするのではなく1人の人間として対峙することによって子どもとの間に絆ができました。そしてあれをしろ、これをしろというのではなく、子どもが自分で考えて行動していきます。その過程で先生と子どもはコミュニケーションを取りながら、より深い行動へつながっていきます。

子どもの能力は大人が考えている以上に優れているので、小さい子どもだからこれはできない、これは危ないと決めつけるのではなく、子どもを信じてみてください。自分で考えて行動させてみる、それでうまくいかなければ再度考えて再度行動してみる。子どもが助けを求めてきたら助けてあげる、こうした距離感で子どもと関わることで、子どもはどんどん成長していくことでしょう。

子どもの他者との対話を邪魔しない

子どもに質問をしているのに親が子どもの代わりに答える親御さんをたまに見かけます。「好きな食べ物は何?」という質問をしたときに「カレーとラーメンだよね」と横から答えてしまうのです。親御さんとしては決して悪気はないのです。

しかし、この行為は、質問されたことを頭の中で理解して回答するというコミュニケーションの機会を奪ってしまっているのです。さらには「こっちのおもちゃとそっちのおもちゃのどっちで遊ぶ?」など選択肢の質問をしたときも親御さんが「こっちだよね」とか「何して遊ぼうか?」のようなYes/Noで答えられない質問に対しても「○○ちゃんはかくれんぼが好きだよね」などといった事を伝えてくる方もおられます。

こうした行為は子どもの思考停止につながってしまいます。子どもは子ども同士だけでなく、周りの大人など色々な人と交流を持つことによって様々な能力を身につけていきます。他者とのコミュニケーションから忍耐力、交渉力、問題解決能力、意思決定力、協調性、柔軟性などの非認知能力だけでなく、語彙力なども伸びていきます。

自分の大切な子どもを守りたい気持ちはすごくわかりますが、「かわいい子には旅をさせよ」という言葉もありますが、本当に子どもの事を考えるのであれば、できるだけ早く自立できるようにサポートしていくことは親としての大切な仕事なのです。

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