日本の管理職以上の給料は世界最低水準?

グローバル社会

日本人の給料は世界基準でみるとかなり安く設定されているのをご存じでしょうか。新入社員時代であれば、中国やタイ、その他のアジアと比べれば相当高い水準ですが、役職がつくと海外の企業では報酬がどんどん上がります。

それに比べて日本の企業では、そんなに大幅な給与アップは見込めません。今回は、そんな日本と世界の給与事情についてみていきたいと思います。

日本の賃金カーブは世界的にみて異質

まずは右のグラフを見てください。このグラフは、人事コンサルティング大手のヘイコンサルティンググループが各国大手企業の役職階級別の年収(基本給、一時金、手当)を調査して、日本の課長職を”1″として指数化したものです。

課長職の場合、タイ、ロシア、中国ともに日本の課長職の半分ほどの収入となっています。意外とアメリカの課長レベルは日本の課長職とほぼ大差ありません。唯一ドイツだけが頭一つ抜けています。

しかし、次の部長職になると、この位置が大きく変わります。日本の部長が1.36(つまり日本の課長職の1.36倍の収入)のところ、ロシアとタイがほぼ同じ位置、中国に至っては1.64と、アメリカとほぼ同レベルです。

そして部門長(本部長)レベルになると日本は1.68ですが、タイで2.24、中国では2.57と大差をつけています。

欧米社会は成果主義のため収入が高水準だとイメージしている方も多いかもしれませんが、実はすでに欧米だけではなく同じアジア圏内の国々と比較しても、日本の管理職レベルの給与水準は相当低くなってきているのです。

他国の給与事情

アメリカでは転職が当たり前で、優秀な人材は自ら、またはヘッドハントされ、条件の良い会社い移っていきます。それを防ぐために、あるいは新たな人材を確保するために管理職の報酬を高くしているのです。

イギリスは、アメリカと同じ英語圏ということもあり、給与水準がアメリカより低かったら、優秀なイギリス人がどんどんアメリカに取られてしまうため、イギリスの給与体系もアメリカのそれに近いものがあります。

今でこそ、アメリカよりも給与水準が高いドイツですが、もともとは日本と同じような給与体系だったのです。そこでドイツ企業がM&Aなどを通じてアメリカに大規模な事業展開を行うようになってから、だんだんとアメリカの給与システムになっていき、最後にはアメリカよりも高い水準になってしまったのです。

お隣の韓国ではサムソンを代表とする財閥系の給料は他を圧倒しています。管理職で年収3億円なんて当たり前の世界です。

中国は一昔前月給1万円ほどでしたが、中国の目覚ましい経済発展とともにその金額は5倍の5万円を超えてきました。ホワイトカラーの管理職に限れば、5倍どころか10倍以上の収入になっています。

なぜ日本の管理職の給料は伸びないのか?

日本企業は戦後から年功序列に終身雇用を前提とした給与システムだったので、賃金カーブが緩やかになっていました。転職という概念も、外から人材を確保してくるという概念もあまりない時代でした。新卒社員を0から育て上げて60歳の定年まで働いてもらうことが当たり前だったのです。

しかし今日、インターネットの台頭から世界が身近になり、グローバル化が加速してきました。世界視野でビジネスをしていく場合、日本独自の年功序列や終身雇用という文化が邪魔をすることになります。

実際日本でも成果主義を導入する動きがありました。成果主義を導入する前の賃金のピークは55歳前後でしたが、成果主義導入後は40代前半に下がってきたという事実もあります。要するに、40代前半からも給料が上がる社員もいれば、40代以降給料が上がらない社員も増えてきたのです。

今部長や本部長、役員などの管理職についている50代の社員は、40代を過ぎているけれども今までの慣習から、極端に給料を下げるわけにもいかない。しかし部長などの役職がついているからと言って給料を上げるわけにもいかないととうジレンマが生まれています。

よって、日本の管理職の給料は伸び悩んでいると言われているのです。そもそも日本は管理職が多すぎといわれています。しっかりと人選して少数精鋭の組織にすることがでいれば、それなりの報酬を支払える企業になれるはずです。

しかしそれをしてこなかったせいで、今や他のアジア諸国の給与水準よりも低い水準に陥ってしまっているのです。

コメント

タイトルとURLをコピーしました