子どもが大人になる頃「仕事の概念」は今とは全く異なる

グローバル社会

今までの日本では、「メンバーシップ型」と言われる雇用形態が主流でした。しかし最近になってそのメンバーシップ型雇用から「ジョブ型」雇用へとシフトしていく動きがあります。このジョブ型雇用が注目を集めたきっかけは、経団連第5代会長の中西宏明氏が「メインバーシップ型雇用を見直していく方が良い」といった発言をしたことです。

この理由として、今後の国際競争を戦うためには専門技術を持った人材でないと難しいからです。メンバーシップ型雇用とはいわば新卒一括採用方式で、専門職を育てるという概念はなく、入社した会社に定年までいるという事が前提になっているので、その会社の仕事を広く浅くできる「ゼネラリスト」人材を育成する場所でした。

反対にジョブ型雇用とは、その仕事に対する専門技術や知識を有した人材が仕事をするという事です。つまり仕事基準の採用方式です。学歴や年齢は重要視されず、その仕事ができるかどうかが雇用の判断材料になります。

メンバーシップ型とジョブ型雇用

私がよく使う例えですが、メンバーシップ型は日本生まれの「相撲」型であり、ジョブ型はアメリカ生まれの「ベースボール」型であると説明します。

相撲は経験のない若手が0から力士を目指して「部屋」という形で共同生活をしていきます。まさに家族として24時間のほとんどを共にします。そして基本的にはその力士は一度入った部屋から他の部屋に移ることはありません。同じ部屋に属しながら兄弟子たちと切磋琢磨しながら「横綱」を目指して頑張っていきます。

反対にベースボールは契約期間が決まっており、会社の求めた実力がなければ解雇されます。選手も各チームを渡り歩いたりすることが普通で、昨年まで仲間だった選手が来シーズンから敵チームにいるなんてことは日常的です。ベースボールの世界では実力があれば、選手は破格の年俸を提示されて色々な選択肢が増えます。

こうやってスポーツに例えるとわかりやすいかなと思いますが、今までの日本では相撲部屋の様に、新弟子(新卒)で入った部屋(会社)で相撲人生(社会人人生)を全うするというのがスタンダードでした。

ジョブ型は世界基準の雇用形態

日本の外を見てみると、基本的にはほとんどジョブ型雇用外一般的です。新卒者は学生の頃からインターンシップなどを通じて社会経験を積みます。その実績をもって仕事にオファーすることになります。

大学でマーケティングを学んだ学生は、よっぽどのことがない限りマーケティングの仕事に就きます。それから条件の良い会社があれば転職を繰り返して、自分の価値を上げていきます。そうするとその学生は「マーケティングに関しての専門家」なので、そのような知識や能力を有している人材を欲している会社であれば、大金を払っても来てもらいたい人材になるのです。

このような事を背景に海外の方に「仕事は何をしているのですか?」という質問をすると「マーケティング」とか「エンジニア」とか職種で答えてくるのが一般的です。この同じ質問を日本の大手企業に勤めている方にすると、「トヨタで働いています」「パナソニックです。」など、会社名で答える人がほとんどではないでしょうか?

この回答からもわかるように、日本ではまだメンバーシップ型が根強いのが現状でしょう。しかしこれらの時代はより一層国際競争力が問われる時代になってきます。世界基準の考えを持ち行動していかないと、世界では通用しない人材になってしまいます。特に今の子どもが社会人になる頃には日本でも「メンバーシップ型」は過去のものでしょう。

これからの時代はジョブ型雇用で複業することがスタンダード

以前書いた「2035年今の子供たちが生きていく近未来の世界とは」でも触れましたが、会社員は「複業」が一般化します。企業は少人数になり、「プロジェクトの集合体」になると言われています。今でいうところの「フリーランス」のような形が一番近い働き方だと思います。

そういった時代を生きていくのには、ある分野の専門家であることが必要不可欠になります。今までのようにゼネラリストとしてではプロの世界で仕事をしていくことはできなくなっていきます。そういった意味でも、ジョブ型雇用が主流になっていくことでしょう。1つの分野のプロフェッショナルとして、いくつもの企業のプロジェクトを担って仕事をし、プロジェクトが終わったらチームは解散、また新しいプロジェクトに参加するといったことが普通になってきます。

そういった世界では、今以上にテレワークも一般化し、一度も顔を合わせずにプロジェクトが終わることも日常的になるでしょう。今以上に技術などが発達することにより、バーチャル世界でも現実と何も変わらないレベルでの仕事ができる環境になっていると思われます。

これから20年以内にそういった世界が現実のものになる中、いつまでもメンバーシップ型雇用を続けていたのでは、今の日本の子どもたちは本当に世界から取り残されてしまいます。そのためにも、2018年に改訂のあった保育所保育指針、学習指導要領にあるように「子どもたちの非認知的能力・アクティブラーニング」を早く実現させ、AIやロボットが一般化したより身近な国際競争社会で活躍できる日本人を育てていきたいです。

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