最強の思考法「批判的思考能力」とは

子育て方法

批判的思考能力(Critical Thinking)という言葉をご存知でしょうか?文字から推測すると批判的=否定的な印象を受けるかもしれませんが、批判的思考能力とは否定的な考え方ではありません。

批判的思考とは、話の前提条件が「本当に正しいのか」疑問を持ち、考えを深めていきながら課題を解決していく思考方法です。つまり「物事の本質を見極める事」です。最近のビジネスシーンでは、この批判的思考能力がとても重要視されています。今まで当たりまえであったことが明日には時代遅れになる事も珍しくない時代において、こうした能力が今まで以上に必要とされてきたのです。

この批判的思考能力は、何もビジネスシーンにとどまらず、子育てにも通ずるものがあります。子どもを育てる親にも、育てられる子どもにも必要な能力です。特にこれからの時代を生きていく子どもたちにとっては、何よりも重要な能力の1つです。

批判的思考能力の事例

物事の本質を見極める事と言われても実際にどういう事なんだろう?と思われる方もいらっしゃると思います。そこで、ここでは実際に子育ての中でどのように批判的思考能力を使うかを事例を挙げて説明していきます。

Aさんの主張
子どもが掛け算が出来ない事が原因で、算数の成績が落ちてきている。塾にいかせて算数の学力を上げる必要がある。

仮説1:算数が苦手になってきたのが原因で学校の成績が悪くなっている。
仮説2:家で勉強するときにテレビを見ながら勉強する傾向がある。しっかりと机に向かって勉強するべきだ。
仮説3:塾に行くことによって集中して勉強できるので、成績がアップするだろう。

結論:塾に行かせてしっかり勉強することによって、成績がアップさせる。

疑問1:そもそも学校の成績が悪くなているのは算数が苦手になったからなのだろうか?他の科目はどうだろうか?
疑問2:塾に通わせれば本当に成績が向上するのだろうか?まずは勉強に興味を持たせることから始めるべきではないか?
疑問3:他の子どもが塾に通っているからと安直な考えで自分の子どもを塾に行かせることが解決方法だと決めつけていないか?

このようにして、自分の子どもの成績が悪くなった原因を追究するときに、自分の判断がきちんとした事実に基づいた判断であったかを考える事が必要です。この決定事項に対して、「なぜ?」という問いかけを続けることによって、物事の本質が見えてくるようになるでしょう。

批判的思考能力と論理的思考能力

批判的思考能力と似ている言葉で「論理的思考能力(Logical Thinking)」があります。

  • 論理的思考:物事を筋道立てて、要素に分解して考えること
  • 批判的思考:本当にその前提が正しいのか検証したうえで本質を見極めること

論理的思考と批判的思考は全く違う考えという事ではありません。批判的に考えて論理的に説明するなど、2つの思考方法を上手く使いこなすことによって、物事の革新をついた問題解決方法を見出すことが出来るようになります。

なぜ批判的思考が大切なのか?

批判的思考が大切である理由はたくさんありますが、大きくわけると3つに分ける事が出来ます。

・検討事案の内容の矛盾や漏れをなくすことが可能
これは、実際に起こっている物事に対して「本当にそうなのか?」「検討するべき課題はないのか?」などの疑問を持つ姿勢が、物事の矛盾点を可視化する事を可能にします。その可視化された矛盾点を1つずつ解決していけば、検討事案の漏れを防ぐことにもつながります。

・物事の本質を見極める事が可能
批判的思考は「どうしてこうなるのか?」「本当にこの考え方でいいのか?」など、批判的、客観的で俯瞰的視点で物事を考え続ける事です。思考をし続けることによって、いらないものがそぎ落とされ、最終的に物事の本質に近いものだけが残ります。

・問題解決や意思決定能力を高める事が可能
物事を懐疑的に捉える事によって、物事の矛盾や漏れをなくすだけでなく、検討議題を掘り下げる事も可能になります。議論が本質に向かうにつれ、自分たちが取り組むべき課題や解決策が明らかになってきます。そうすることによって、意思決定までの時間と労力を最小限に抑える事が出来るようになります。

批判的思考の4つのステップ

STEP1:目的を明確化する
まずは、「どんな事がしたいか」「何を実現したいか」「なぜそうしたいのか」といった問いかけを通じて客観的思考をします。そうすることによって、自分が目指す目的地とレベル、達成するための期間などをできる限り明確にして設定します。この目的が明確であればあるほど、この後のステップ簡単になります。

STEP2:現状を分析する
このステップでは、ステップ1で設定した目的やレベル、その達成期間を実現するために、現状の詳細を把握するようにします。現状分析をしっかりと行い事によって、次のステップがスムーズになります。目的と現状のギャップをしっかりと可視化できるようにしましょう。

STEP3:課題を発見する
現状分析が出来たら、目的と現状のギャップがどの程度あるのかを測定、分析してから課題を見つけるようにします。このステップではできる限り客観的な視点で思考をするようにしてください。

STEP4:解決するためにすることを決める
最後のステップとして、問題解決に向けて実際に何をするかを決めます。これまでのステップで継続してきた思考によって、自分が取り組むべき課題が明確になっています。その課題の中でとりわけ大切だと考えられるものを優先しながら「誰が、何を、いつまでに、どこで、どのようにして」(英語の5W1H)を使て解決してく計画を立ててください。

最後に

情報過多の時代を生きていくには、どの情報が自分にとって必要なのか、何が正しいのか、情報発信者はどのポジションからその情報を発信しているのか、狙いは、利益は、など物事の本質を見極める力は、今後ますます必要になってきます。

我々大人もそうですが、これから大人になっていく子どもにとって、この批判的思考能力は、生きていく中で最も重要な能力の1つになっていきます。ただし、こうした数値化できない非認知的能力は座学から学べるものではありません。

子どもが興味のある事や遊び、習い事など社会活動を通じて学べるものです。幼児期から様々な経験をさせてあげることによって、この批判的思考能力を始め、その他の批判的思考能力を引きだすことが出来ます。是非子どもに色々な経験をさせてあげましょう!

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