幼児英語教育を躊躇させる5つの誤解とは?

幼児教育

子供が小さいうちから1つ以上の言語の環境に身を置くことに対して躊躇する親御さんがいらっしゃいます。

躊躇する理由は、「早くから母国語以外を勉強させると子供が混乱する」だとか「言葉が出てくるのが遅くなる」などありますが、これらの情報は全て誤解であり、子供にとってもっとも言語習得力の高い時期を逃さないように、きちんと正しい情報を手に入れましょう。

今回は、バイリンガル教育に対してよくある誤解を以下の5つにまとめましたので1つずつ確認していきましょう。

1.1つ以上の言葉で子育てすると子供が混乱する

これは幼児英語教育における誤解の中で一番広がっている誤解です。親御さんの中には、子供が2か国語の環境で過ごすことによって、2つの言葉の区別がつかなくなるのではないかと心配されている方もいらっしゃると思います。

「この世に生まれたその瞬間から、幼児は多くの言葉の違いを理解しています。」と”Raising a Bilingual Child”の著者であるバーバラ・ズラー・ピアーソン氏は言っています。

「特にその言語同士が遠い言語であればあるほど、例えばフランス語とアラブ語(日本語と英語も遠い言語です)などの場合は、子供はよくその違いについて理解している」と彼女は言います。

「生まれたての赤ん坊は近い言語、例えば英語とオランダ語などの区別をするのは難しいと考えられていますが、生後6か月ほどになると近い言語の違いも分かるようになってくる。」

実は、「この“1つ以上の言葉で子育てすると子供が混乱する”という誤解は、昔の研究者が質の低い研究を行った結果として“幼少期から多言語の環境に子供を置くことはよくない”と結論付けたものです。

この研究結果はアメリカに移民してきた親たちを刺激し、もともとの母国語である言葉を捨てて、英語教育に集中させることを引き起こした要因になったのです。本当にもったいないものです。」

このように、幼少期から子供は言語の違いをしっかりと認識するため、幼児期からの英語教育のせいで日本語と英語の区別がつかなくなるというのは全くの誤解です。

2.バイリンガル教育は言葉の遅れを引き起こす

バイリンガルの子供の中には、モノリンガルの子供と比べると発話の時期が遅いと言われることがあります。

確かにバイリンガルの子供の中に発話時期が遅い子供もいますが、その原因がバイリンガルだとは言い切れないと専門家は言っています。発話の遅れが見られたとしても、それは一時的なものであり心配するようなことではありません。

以前はバイリンガル教育が言語発達の問題の原因になると考えられていた事もあるため、不運にもバイリンガルの子供たちの発話発達のことについて考えている親に対して、1つ目の言語に集中するようにと間違ったことを言う人間もいました。

「研究の結果、バイリンガル教育が発話が遅くなったり言語遅滞になる原因にはならないことが証明されている」と、アメリカの”Bilinguistics”という言語療法所の設立者兼代表であり、言語療法博士のエレン・スタブ・ケスター博士は言う。彼女はテキサス州オースティンにてバイリンガルのスピーチ言語サービスを提供している。

ケスター博士は「発話が遅いと言われる多言語の環境で育つ子供は、単一言語の環境で育つ子供と同じ割合で言語を習得していることが、研究の結果明らかになっています。」と言っています。

3.子供のうちから多言語教育するとセミリンガルになる

セミリンガルとは2ヶ国語を知っていながらも、両方の言語を浅くしか操ることができない人のことです。つまりボキャブラリーが少なかったり、文法がめちゃくちゃな人のことです。

バイリンガルの子供の言葉が混ざるという事はよくあることですが、これがセミリンガルにつながることはありません。

バイリンガル能力のことをあまり知らない方からすると、「言葉が混ざるという事は、子供が言語を区別できない証拠だ!」という風に考えることもあるでしょう。

多くのバイリンガルの子供はよく言葉を混ぜて話すことがあります。これは両方の言葉を整理しているから起きる事なのです。

通常どちらかの言語が子供をより多く刺激するので、その言葉が子供の中での第一言語になります。第二言語のボキャブラリーは通常第一言語のそれよりも劣るので、第二言語に第一言語の単語を混ぜることがあります。

専門家曰く言語の混合は一時的なもので、子供のボキャブラリーが増えるにつれて混ぜる回数は減っていきます。それによって両方の言語の能力がどんどん磨かれていきます。

年齢に関係なくバイリンガルの方は言語を混ぜる場合があります。これはコードスイッチングと言われる行為です。

例えばアメリカいは多くのメキシコ人が移民でメキシコからアメリカに移り住んでいます。彼らの次の世代はアメリカ生まれなので、家ではスペイン語、家の外では英語の環境で育ちます。彼らの多くはスペイン語と英語を混ぜて使ったりします。

このコードスイッチングをする理由としては、単に単語や言い回しがわからない場合もありますが、多くの場合わざと言葉を混ぜています。その理由として単にその単語やフレーズが好きな時もありますが、大きな要因としてその言語にはない言い回しをするときです。

例えば「お疲れ様」などは英語にない表現なので、英語を話していても”It was pretty tough day… I gotta go now, Otshukaresama!”など、英語と日本語が通じる相手には、このようにして話す方が、自分の伝えていい身をダイレクトに伝えられるというメリットがあるのです。

4.うちの子はバイリンガル教育するには遅すぎる

子供に母国語以外の言語に触れさせるのに早すぎることも遅すぎることもありません。

「大人が四苦八苦して外国語の勉強をするのに比べて、10歳以下の場合は言語はかなり簡単に習得できます。さらに5歳以下だともっと簡単になります。」とピアーソン氏は言います。「言語習得に最適な時期は生まれてから3歳になるまで、つまり子供が母国語を学習している時期」だそうです。

その次にいい時期は4歳~7歳の頃です。この時期は、まだ多言語に対して平行して学べる能力があります。つまり第2言語のシステムを第1言語と平行して学ぶことができ、2つの言語ともネイティブレベルになることが可能です。

もしあなたのお子様が7歳以上であったとしても悲観する必要はありません。バイリンガル教育を始めるのに全く遅くありません。8歳から思春期を迎えるまでのこの時期は、まだ第2言語を学び始めるのに優位な時期にあります。

研究の結果、思春期を過ぎると第2言語は第1言語とは別の場所に収納されるので、子供は第2言語を第1言語に訳すという工程が必要になってしまいます。

ほとんどの日本人は中学生から英語を勉強してきていますが、日本の英語教育は「英語をはなせるようになる」カリキュラムではなく、あくまで「高校や大学に入る」目的で勉強しています。

使える英語を話せる様になるには、できるだけ早い時期から「生きた英語」に触れていくことをお勧めします。

5.子供は何でも吸収するから簡単にバイリンガルになれる

いくら幼児や子供が言語習得に有利だからと言って、マジックのようにいきなるペラペラになる訳ではありません。例えば子供が英語のドラマを見続けていたら、簡単に英語が話せ羽陽になるような非現実的な考え方はやめましょう。

言語を学ぶことを勉強にする必要はありませんが、バイリンガル教育をする場合にはそれなりの環境を提供することが必要になります。日本国内でバイリンガル教育をする場合、英語で過ごす時間の比重を少しでも上げることです。

普段の生活の中にいかに英語を紐づけさせるか、これが非常に重要になります。英語が生活の一部になれば、英語を学ぶ意味やその楽しさを頭だけではなく、身体全体で理解できます。

そして、バイリンガル教育の中で最も重要なことは、一貫性をもって日々やり続けることです。

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